メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

世界経済の減速傾向

ギリシャ危機も影響、先進国経済の成熟も背景に

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 IMFが去る7月9日に発表した世界経済の見直し(World Economic Outlook-WEO)によると2015年の世界経済全体の成長率は3・3%。2014年の3・4%から若干の減速だ。

プラカ地区で廃虚と化した建物の落書き。「(旧通貨の)ドラクマよ、帰って来い」=2015年7月11日午後、アテネ

 先進国経済は順調に回復しているものの(2015年、アメリカの成長率は2.5%、イギリスは2・4%、ユーロ圏は1・5%)4月の予測からは0.3%の下方修正だ。例えば、アメリカは4月予測では2015年成長率が3.1%だったのが2・5%に下方修正されている。

 減速が大きいのは新興市場国及び途上国だ。特に、原油等天然資源価格の下落を受けてロシアとブラジルがマイナス成長になっている。2015年のロシアとブラジルの成長予測はそれぞれマイナス3.4%、マイナス1.5%なのだ。さすがに2016年は回復すると見込んでいるが、原油価格等の動向次第ではマイナス成長が続く可能性も低くないのだろう。

 IMFはユーロ圏の景気回復を見込んで、2015年のユーロ圏の成長率を1.5%にしているが、ギリシャ危機の再燃等で状況は思わしくない。

 ギリシャは2008年から2013年までマイナス成長を続けていた。2014年には0・77%と若干の景気回復があったのだが、

・・・ログインして読む
(残り:約696文字/本文:約1217文字)