政府や国民の主体的な取り組みも必要に
2015年07月21日
ギリシャ議会は7月16日に財政改革法を可決し、欧州中央銀行(ECB)と欧州連合(EU)の金融支援が決定され、ギリシャは民間債務の不履行(デフォルト)と銀行破綻を回避できることになった。ギリシャのユーロ離脱の可能性は短期的には後退した。
しかし、中長期的にみてユーロ離脱の可能性が大きく改善したわけではない。S&Pはギリシャのソブリン格付けについて下から2番目の水準に据え置き(CCC-、アウトルックネガティブ)変更はしていない。最大の問題はギリシャの経済回復のシナリオが見えないことであり、今後数か月から2年以内に問題が再燃する可能性もあるとみている。
ギリシャの回復を制約する要因としては以下がある。
第一に、ギリシャ内の政局が不安定であり政策が執行されるのかは不透明である。緊縮策に反対する国民投票の結果にもかかわらず、チプラス首相は金融支援の条件として付加価値税の引き上げや年金改革を受け入れた。改革案はギリシャ議会で承認されたとはいえ、チプラス氏が率いる急進左派連合からは40人近くが造反するなど与党内で亀裂が生じており、政権基盤は安定していない。
第二に、ギリシャの銀行の業務再開と健全化は困難な課題である。ギリシャの銀行は今年初めの新政権の発足以降預金の流出が加速していたが、
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