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ギリシャ経済の回復を制約する三つの要因

政府や国民の主体的な取り組みも必要に

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

 ギリシャ議会は7月16日に財政改革法を可決し、欧州中央銀行(ECB)と欧州連合(EU)の金融支援が決定され、ギリシャは民間債務の不履行(デフォルト)と銀行破綻を回避できることになった。ギリシャのユーロ離脱の可能性は短期的には後退した。

拡大窓口営業が再開した銀行を訪れる人々=2015年7月20日午前、アテネ、山尾有紀恵撮影

 しかし、中長期的にみてユーロ離脱の可能性が大きく改善したわけではない。S&Pはギリシャのソブリン格付けについて下から2番目の水準に据え置き(CCC-、アウトルックネガティブ)変更はしていない。最大の問題はギリシャの経済回復のシナリオが見えないことであり、今後数か月から2年以内に問題が再燃する可能性もあるとみている。

 ギリシャの回復を制約する要因としては以下がある。

 第一に、ギリシャ内の政局が不安定であり政策が執行されるのかは不透明である。緊縮策に反対する国民投票の結果にもかかわらず、チプラス首相は金融支援の条件として付加価値税の引き上げや年金改革を受け入れた。改革案はギリシャ議会で承認されたとはいえ、チプラス氏が率いる急進左派連合からは40人近くが造反するなど与党内で亀裂が生じており、政権基盤は安定していない。

 第二に、ギリシャの銀行の業務再開と健全化は困難な課題である。ギリシャの銀行は今年初めの新政権の発足以降預金の流出が加速していたが、 ・・・ログインして読む
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筆者

根本直子

根本直子(ねもと・なおこ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

日本銀行、S&Pグローバル、マネージング・ディレクターを経て現職。主なリサーチ分野は、金融機関経営、日本およびアジアの金融市場、包摂的成長。 早稲田大学法学部、シカゴ大学経営大学院、一橋大学商学研究科、商学(博士) 主な著書に「韓国モデルー金融再生の鍵」「残る銀行沈む銀行―金融危機後の構図」 財務省 関税・外国為替等審議会委員、中部電力、コンコルディア・フィナンシャルグループ社外取締役、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 経営管理委員。

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