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ギリシャ、欧州最後の社会民主主義は守られるか

未来をひらくシナリオはユーロ離脱だった

森永卓郎 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授

 7月16日にギリシャ議会が、EU側から突き付けられていた支援条件である財政再建策を実現するための関連法案を賛成多数で可決した。これを受けてEU側は、当面70億ユーロ(9500億円)のつなぎ融資を行う方針を固めた。これで、ギリシャは、当面の債務返済の資金繰りにメドが立ったことになる。

拡大開店とともに年金を受け取るため銀行に入る人々=2015年7月10日午前、アテネ、矢木隆晴撮影

 しかし、今回のギリシャ救済は、危機の先送りにすぎない。いままで、何度も同じような救済をして、その度にEUは、新たな救済策を講じざるを得なくなった。今回もその歴史を繰り返すだけになる可能性は高いとみるべきだろう。

 結論から先に書くと、私は今回こそ、ギリシャはユーロから離脱すべきだったと考えている。それがEUにとっても、ギリシャにとっても、未来をひらくシナリオになるからだ。

 もちろん、ギリシャがユーロから離脱すれば、EUの支援を受けられなり、ギリシャは債務不履行に陥る。当然、世界の金融市場は混乱に陥るだろう。

 しかし、その混乱を乗り越えれば、EUはもうギリシャの支援を続ける必要がなくなる。そして、ユーロを離脱したギリシャにとっても、新たな展開が得られるのだ。

 ギリシャが、通貨を元のドラクマに戻せば、

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筆者

森永卓郎

森永卓郎(もりなが・たくろう) 経済アナリスト、獨協大学経済学部教授

1957年7月生まれ。東京都出身。東京大学経済学部経済学科卒業。日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画局(出向)、三井情報開発(株)総合研究所、(株)UFJ総合研究所を経て、現在、経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。そのほかに、金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開している。日本人のラテン化が年来の主張。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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