監査組織はなぜいつも役に立たないのか
2015年07月23日
東芝の不正経理を調査した第三者委員会の報告書が公表された。経営陣の無謀な利益強要が各部門を不正行為に走らせ、監視機能は働かず、会社全体が粉飾決算に染まっていった。コンプライアンスなどどこ吹く風のその様子は、時代遅れの「巨象」の末路を見るようで、怒りを超えて哀れですらある。
一般に粉飾決算は、特別背任罪(会社法)、詐欺罪(刑法)、有価証券報告書虚偽記載罪(金融商品取引法)などに問われる。証券取引等監視委員会はこれから調査に乗り出すが、刑事告発はせず虚偽記載による課徴金を課す方針が早々と報道にリークされている。
東芝は日本を代表する企業だ。社長たちは経団連や政府組織の要職を務めてきた。軽い処罰で幕引きして、日本企業や株式市場への不信感を小さく抑えたいという政治判断が働いているように見える。
しかし、刑事告発は免れても、3人の社長や役員たちには国内外の株主による巨額の損害賠償訴訟や株主代表訴訟などイバラの人生が待ち受けている。
言うまでもなく、株式上場は会社の業績や見通しのデータを正しく公平に投資家に公開することが大前提だ。東芝は不正な情報を流して投資家をだまし、株価暴落による損害を与えた。市場経済の国で、その罪はとても重い。
この種の不祥事が起きた時、いつも問題になるのは「経理をチェックする監査法人や監査委員会(監査役)は一体何をしていたのか」という疑問である。
まず監査法人。東芝の場合は新日本有限責任監査法人(以下、新日本)で、
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください