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「アベノミクス」のパフォーマンスを問う

ほとんど成長なしのGDP、つるべ落としの実質賃金

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 8月の旧盆明けは、日本と世界の経済・金融資本市場には大きな動きが出て来たようである。今年6月中旬以降の中国の上海株式相場の暴落に触発されたかのように、米国のニューヨーク株式相場も、ダウ工業株平均、S&P500などの主要株価指数は、昨年12月以降の異常とも見えた膠着状態をあっさりと脱し、今年の年初来安値を付けた。

 では、日本経済は、「アベノミクス」下で、いかなる推移を示してきたのか。

 直近では、日本経済の今年第2四半期(4月~6月期)の実質経済成長率(=2005年基準の連鎖価格で評価した実質GDPの成長率、四半期別・前期比・年率換算・季節調整済)は、マイナス1・6%と、前期のプラス4・5%から大幅に減速したというのが、旧盆明けに公表された日本政府自身(内閣府経済社会総合研究所)の公式推計値である。

 民間消費支出と輸出の反落が、マイナス成長の主因とされた。

 昨年第2四半期には、消費税率引き上げ前の駆け込み需要の反動で、マイナス7・5%、第3四半期にもマイナス1・3%と、2四半期連続でマイナス成長を記録した。その後は、昨年第4四半期には1・4%とプラス成長に転じ、今年第1四半期には、上記のように、4・5%と力強い成長を示していたというのが、日本政府自身の公式推計値がふりまいていた印象・イメージであった。

拡大

 成長率では、四半期別のブレが余りにも大きく、日本経済は、実際には如何に推移して来たかが捉え難い。そこで、名目GDP(経常価格での評価、四半期別・年率換算・季節調整済)と、実質GDP(2005年基準の連鎖価格で評価、四半期別・年率換算・季節調整済)の水準の推移を、愚直にグラフに画いて眺めることが肝要であろう。

 第2次安倍政権は、2012年12月26日に成立したので、2012年度の最後の四半期(2013年1月~3月期)を超えた2013年第2四半期以降が、「アベノミクス」の責任期間と言えよう。金融政策に関しても、安倍首相の任命で、同年3月20日に黒田東彦氏が日本銀行総裁に就任し、量的・質的金融緩和と銘を打った政策を打ち出したのが、同年4月4日であった。

 まず、実質GDPの水準をみると、

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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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