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安保法制をめぐり欠けている日米安保体制論議

日米安保条約は無条件で廃棄できる!? 

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

拡大国会前で安保関連法案反対を訴える人たち=2015年8月30日午後2時7分、東京都千代田区、本社ヘリから、岩下毅撮影

 安全保障関連法案をめぐり、国会内外の動きが緊迫している。日本国憲法第9条に則って、平和主義・専守防衛・個別的自衛権の枠組みにとどまるべきとの立場と、多くの憲法学者らが違憲との判断を示しても安保関連法制の改定で、集団的自衛権を行使できる国家になるべきとの立場の相克だ。国内では、強行採決への動きや、それを阻止しようというデモが続いている。

 一方、米国のCNN、英国のBBCなどの主要海外メディアは、集団的自衛権を行使できるようになるということについて、日本の自衛隊が第2次世界大戦後初めて、「同盟国」(米国など)の戦争に参加してともに戦うことができるようになる、との趣旨を非常に直裁に報道してきている(同盟国にカッコを付けた意味は、後で触れる)。

 上記の国内の双方の主張から欠落しがちなのは、自主・独立の国としての日本の国家安全保障は、いかなるなるものであるべきかをめぐる基本的な認識ではないだろうか。

 平和主義・専守防衛・個別的自衛権の枠組みにとどまるべきとの立場なら、日本と米国との安全保障関係はいかにするのか。日本は、米国との軍事的関係はなしに、完全な自主防衛に踏み切るべきなのか。

 あるいは、、米国などとの集団的自衛権を行使できる国家になるべきとの立場なら、それで日本の安全保障は本当に大丈夫なのか、増進されるのか。

 いずれにせよ、日米の2国間関係の基礎になって来た日米安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)と、その関連事項を、ゼロ・ベースで見直し、再考することは、どちらの立場を支持するのかを考える際の基本だろう。上記の二つの立場に限らず、日本の国家安全保障に関して、第3、第4の選択肢もあり得るかも知れない。

 1960年(昭和35年)6月23日に批准書が交換されて発効した現行の日米安保条約(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約)をめぐっては、国会を取り巻く大規模なデモが繰り返して繰り出され、国会周辺は騒然としたという。

 しかし、当時の「安保反対」を叫んだ学生運動の指導者の中には、 ・・・ログインして読む
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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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