白球を追い続けよう
2015年10月05日
総務省の2011年社会生活基本調査によれば、「過去1年間にゴルフ(練習場を含む)を行った10歳以上の人」の数は、男女あわせて924万人(男が760万人、女が164万人)であった。
この調査結果を詳細に見ると、「年に1~4日」が262万人、「年に5~9日」が171万人、「年に10~19日(月に1日)」が182万人、「年に20~39日(月に2~3日)」が148万人、「年に40~99日(週に1日)」が103万人、「年に100~199日(週に2~3日)」が46万人、「年に200日以上(週に4日以上)」が11万人である。
ゴルフ人口924万人といっても、年に数日しかクラブを握らない人が262万人(28%)も含まれているのだ。一方、週2~3日以上練習かラウンドをしている人の数はわずか57万人(6%)である。この57万人が、上達意欲をもって練習に励み、毎週のようにラウンドをしている「本気ゴルファー」である。
本気ゴルファーを1年続ければ誰でも100の大台を切ることができる。2年続ければ90を切れる。5~6年続ければシングル目前の上級者になることが可能である。特別な体力や運動神経が不要で、精進しだいで誰でも上級者になれるのがゴルフの大いなる美点だ。体力に余裕がある50代のうちに安定して80台で回れる上級者になってから定年を迎えるのだ。
ゴルフクラブの中で、親しくなるのは不思議と腕前がそろっている同士である。ひとりで行けば、クラブ側が配慮して同じような腕前の会員と組み合わせてくれる。同伴者の腕前がそろっていれば気分よく回ることができる。上級者は段取りがよいのでプレーが早く、林やバンカーや池に何度も打ち込むことがない。上級者4人で空いているコースをスイスイと回るラウンドは何とも爽快である。
ゴルフはどんな腕前の人でも楽しめるスポーツである。しかし、上達すればするほど楽しさが増すのも事実だ。上達すればヘッドスピードが上がり飛距離が伸びる。真っすぐ遠くへ飛んでいく白球を見れば、スカッと気分が晴れ喜びも大きい。また、上達すれば難しい本格的なコースに挑戦できる。
上達すればもっと良いことがある。ゴルフ人生が延びるのだ。歳を重ねるとともに、飛ばせなくなったり、腰やヒザを痛めたりしてゴルフをやめる人が多い。しかし、上達して下半身主導の合理的なスウィングを身に付ければ、加齢とともに筋力が衰えてもそれほど飛距離が落ちない。また、力まずに軽やかにスウィングできるようになるので腰やヒザに負担がかからないのだ。
体力は20代で最も高く、30歳を超えるあたりから筋肉の萎縮が起こり、10歳ごとに5〜10%ずつ低下する。ここで重要なのは、日々運動をしていれば体力の低下をゆるやかにできることだ。運動をしていない人は、日々運動をしている人よりも、何と!約15年も早く、筋力が、寝たきりになる恐れがある「20代の30%」にまで低下するのだ。
最近の分子生物学の進歩によって、筋肉の萎縮こそが高血圧、糖尿病をはじめとする生活習慣病の根本原因だという証拠が次々と発表されている。日々運動をすれば、30歳以降の体力の低下がゆるやかになるだけでなく、生活習慣病を予防できて、高齢まで自立した生活ができる体力を維持できるのだ。
本気ゴルファーは、無意識のうちに日々運動をしている。ゴルフクラブは300~400グラムと軽いが、長いので慣性モーメント(振りにくさ)が大きい。ゴルフの運動量は一般に思われているより大きいのだ。その証拠に、ドライバーを7~8回続けて全力で振れば息が上がり心臓がどきどきする。
さらには、ラウンドをすれば長い距離を歩く。歩数計を腰に付けてラウンドをすれば、乗用カートを利用したとしても、歩数は1ラウンドで1万5千歩近くになることがわかる。スタート前に練習したり、カートとボールの間を往復したり、グリーン周りやグリーン上を歩いたり、自分だけでなく同伴者のボールを探したりするので、思いのほか長い距離を歩くのだ。乗用カートを利用しなければ、1ラウンドの歩数は2万歩近くになる。白球を追っているからこそ歩ける長い距離だ。
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