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人民元は次第に世界の主要通貨になっていくだろう

「リオリエント」のトレンドを背景にした動きだが、本格的な金融自由化はまだ先だ

榊原英資 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

SDR入りで起きそうなこと

 国際通貨基金は11月30日の理事会で、「特別引き出し権(SDR)」と呼ばれる準備資産に中国の通貨人民元を採用することを決定する見通しだ。従来のSDRは米ドル・スターリングポンド、ユーロ、日本円の4通貨だったが、今回人民元が加えられ5通貨となる訳だ。

 SDRの通貨バスケットの見直しは、このところ5年ごとに行われている。前回の見直しは2010年11月、5年たった2015年の見直しで人民元が加えられたのだ。2010年の時点では人民元は自由に取引できる通貨とはいえないと見送られたのだが、このところ中国は矢継ぎ早に金融制度の改革を実行しており、前回は見送りに賛成したヨーロッパ諸国も今回は支持に回ったのだった。

首脳会談後、共同記者発表する中国の李克強首相=11月、ソウルの青瓦台、代表撮影拡大首脳会談後、共同記者発表する中国の李克強首相=11月、ソウルの青瓦台、代表撮影

 人民元のSDR入りの結果まず起きそうなことは、各国政府・中央銀行が外貨準備として若干の人民元を保有することだろう。

 2014年の時点では公的に保有されている外貨資産のうち54.7%は米ドル、18.1%はユーロで人民元は0.95%にすぎないが、このシェアは今後若干増加していくことになってくるのだろう。

 2014年の中国の名目GDPは10兆3804億ドルとトップのアメリカの17兆4189億ドルの6割に達している。ナンバースリーの日本(4兆613億ドル)の倍以上になっている。中国の米ドル建GDPが日本を超えたのは2009年だが5年の内に倍にまで伸びることになったのだ。もっとも、この間、円安が進行し、そのため米ドル建の日本の名目GDPが減少したことも影響している。

 中国は高度成長期(1980~2011年、平均成長率10.03%)は終わったとはいえ、依然として7%台の成長率を維持している(2013年7.7%、2014年7.3%)。IMFの最新の「世界経済見通し」では、(2015年10月)2015年は6.8%、2016年は6.3%に下落するとされているがそれでも、日本や米国を大きく上回っており、2025~30年には中国のGDPはアメリカを抜いて世界のナンバーワンになると予測されている。

 プライス・ウォーターハウス・クーパーズの予測によると購買力平価(PPP)ベースでは既に中国はアメリカを若干抜いて世界のナンバーワン(2014年、中国17兆6320億ドル・アメリカ17兆4160億ドル)。2050年には61兆790億ドルとアメリカを50%前後上回ると予測されている(アメリカは2050年は41兆3840億ドル)。

 ちなみに、この予測によるとナンバーツーはインド。42兆2050億ドルとアメリカを1兆ドル強上回っている。いずれにせよ、GDPでは中国が世界最大の経済大国であり続けることはまちがいないようだ。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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