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[25]最強の14本!ゴルフ上達に不可欠(上)

上手く打てないのは実はクラブのせい?

山口信吾 ゴルフ作家

クラブ診断が欠かせない

 最近、ハンディ22(ベストハンディ17)の友人が、打球の行方が定まらくなり100が切れなくなった、と悩んでいる。林やOBゾーンに度々打ち込むのだという。スウィングに大きな問題はなさそうだ。ゴルフバッグを覗くと、どうやらクラブに問題がありそうである。ぼくが協力して、①クラブ総重量、②重心距離、③シャフトの手元剛性、を調べてクラブ診断をすることにした。

 1つ目は、クラブ総重量の点検である。クラブが0.5インチ長くなるごとに約7グラム重くなっていれば「振りごたえ」をほぼ同じにできる。

 友人の13本のクラブの長さと総重量のグラフを作成すると「折れ線」が出現した。一目で2つの問題点がわかる。まず、コンペで賞品にもらった7番ウッドがパワーヒッター向けの重くて長いものだったのだ。さらに、最近購入した新製品のドライバーが総重量263グラムであまりにも軽い。

番手別クラブ総重量を示すグラフ。7番ウッドとドライバーの異質性が際立つ拡大番手別クラブ総重量を示すグラフ。7番ウッドとドライバーの異質性が際立つ

 重すぎたり軽すぎたりする異質のクラブを振るときには、スウィングのテンポが変わり、切り返しのタイミングもインパクトでフェースを閉じるタイミングも変わる。異質のクラブだけの“別物"スウィングを身に付ける必要があるのだ。クラブごとにスウィングを切り替えるのは難しい。

 たとえ練習場で異質のクラブを上手く打てるようになっても、コースでは身に染み付いているスウィングが顔を出してミスショットを生む。特定のクラブでミスショットが出るときは、異質のクラブが交じっている可能性が高い。パターを除く13本のクラブには“妙なる調和"が必要なのだ。

 2つ目は、「重心距離」の点検である。ドライバーとアイアンの重心距離が大きく異なれば、開いたフェースをインパクトで閉じるタイミングが狂ってしまう。友人の新しいドライバーの重心距離は42.3ミリと長く、前から使っているアイアンの重心距離(5番アイアン)は36.2ミリと短いことがわかった。これでは、打球がアイアンでは左へ、ドライバーでは右へ出るのは無理もない。アイアンの重心距離は、ドライバーの重心距離と同じか数ミリ長いくらいが正解なのである。

 3つ目は、ドライバーの「シャフトの手元剛性」の点検である。友人の新しいドライバーを行きつけのゴルフ工房に持ち込んで「振動数」を計測してもらうと210cpmしかなかった。この超軽量ドライバーは、数年前の女性用ドライバーより〝やわ〟なのだ。

 ヘッドスピードが40m/sぐらいのゴルファーに適したドライバーの振動数の目安は240cpm前後である。手元剛性が大幅に不足したシャフトを付けたドライバーを振れば、切り返しでシャフトが手元で大きくしなるので、振り遅れてしまってボールが右へ出る。振り遅れることを察知して手を強く返せば引っかけてしまう。友人がティーショットの弾道が定まらなくて悩んでいるのは、ドライバーがあまりにも軽いうえに、シャフトの手元剛性が大幅に不足しているためだ。

 振動数測定器を備えているゴルフショップが増えてきた。フィッティングには自分のクラブを持参して振動数を計測するようにしたい。振動数が大きく異なるドライバーに買い替えるのは禁物である。

 結局のところ、友人は重量級の7番ウッドと軽量級のドライバーをあきらめた。その後すぐに100が切れたのだという。一件落着したとはいえ打球が定まらなくて悩み続けた長い時間は取り戻せない。

クラブ選びの目利きになる

 カタログには多岐にわたるクラブの仕様のほんの一部しか記されていない。クラブの仕様は秘密のベールに包まれているのだ。

 長さでさえ「60度法」と「ヒールエンド法」があり統一されていない。シャフトの硬さ(フレックス)についても基準がないため、あるメーカーの「S」が別のメーカーの「R」よりやわらかいことさえある。工業製品であるはずのクラブは“嗜好品"とみなされているのだ。こうしたことが重なって、評判や見た目、振り心地でクラブを選ぶ人が多いようである。

 しかし、仕様を確認しないでクラブを選んでいては思わぬ失敗をする。クラブの性能に関わる数多い仕様数値のうち、せめて先述したクラブ総重量、重心距離、シャフトの手元剛性、を確認したうえでクラブを選んでほしい。

 クラブ買い替えは、クラブ選びの目利きになる絶好の機会である。試打するクラブの仕様を理解しておいて念入りに試打するのが、クラブ選びの極意なのである。

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筆者

山口信吾

山口信吾(やまぐち・しんご) ゴルフ作家

1943年、台北市生まれ。九州大学工学部建築学科を卒業後、同大学院を修了。69年、竹中工務店に入社。72年に渡米し、ハーバード大学デザイン大学院修了後、米国大手設計事務所に勤務。75年に帰国して竹中工務店に復帰。一貫して都市開発プロジェクトに従事。2004年の定年退職後はゴルフ作家として活動している。43歳でゴルフを始めた遅咲きゴルファー。ベストハンディキャップ8。97年以来、毎年のように英国の海岸地帯の「リンクス」と呼ばれる自然のままのコースを巡る。『定年後はイギリスでリンクスゴルフを愉しもう』(亜紀書房)、『普通のサラリーマンが2年でシングルになる方法』(日経ビジネス人文庫)、『死ぬまでゴルフ!』(幻冬舎)など著書多数。自身のブログはhttp://www5f.biglobe.ne.jp/~single 【2016年3月WEBRONZA退任】

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