信頼できる14本があってこそスウィングは固まる
2016年02月25日
今では、多くの人がフィッティングを受けてからクラブを購入するようになった。ただ、フィッティングには2つの落とし穴がある。
1つ目は、今現在のスウィングに合わせてクラブを選んでしまうことだ。例えば、スライスに悩んでいる人がフィッティングで真っすぐ打てるのは、重心角が大きくてフックフェースのクラブである。
しばらく前に、「スライス撲滅宣言!!」と銘打った重心角が30度(平均値は22度)もあるドライバーが売り出された。こんな極端にヘッドが返りやすい“お助けクラブ“を使えば、スライスは消えるかも知れない。しかし、スウィング中にフェースを開いて閉じる動きが身に付いてくれば、とんでもないフックを連発することになる。スライスを直したいのなら、クラブを買い替えるより、レッスンを受けてスウィングを改善するのが先決なのだ。
2つ目の落とし穴は、一番飛距離が出ているクラブを購入してしまいがちなことである。狭い試打室では、誰もが無意識のうちに力を抑えてクラブを振る。フィッティングで一番飛距離が出るのは、力を抑えて打ったときに真っすぐ打てるクラブである。これでは体力に見合ったクラブは選べない。
フィッティングでは、打球が少し右へ出るぐらいの「ちょっと手ごわいクラブ」を選ぶのが正解である。ちょっと手ごわいクラブを使いこなそうとして努力してこそ上達するのだ。コースに持ち出せば全力で振るので、徐々に真っすぐ打てるようになり、自分の最大飛距離を出せるようになる。
ゴルフショップによっては、会員になれば無料でクラブを借り出すことができる。借り出したクラブを行きつけの打ち放し練習場で試打すれば、コースに近い感覚でボールを打って最大飛距離を確認できる。なお、打ち放し練習場に付属している中古クラブ店が増えてきた。今や中古クラブも試打してから買えるのである。
さらに、借り出したクラブをコースに持ち出して試打することをおすすめしたい。コースでは本来の自分を出せる。自分のボールを使ってコースで試打してはじめてクラブとの本当の相性がわかるのだ。
ラウンドで会うたびに異なるパターを持参している人がいる。しかし、パターを頻繁に変えるのは問題である。パターを変えるとスウィングが変わり距離感も変わるからだ。
パターは、「L型」「ピン型」「マレット型」に大別できる。規模の大きな中古クラブ店には試打グリーンが設けられ様々なパターがそろっている。3つの型のパターを見つけて、ボールを打ちながら比べてみると大きな違いがあることを実感できる。
シャフトの軸がヘッド重心を通っている“フェースバランス設計"のネオマレット型のパターの長所は、真っすぐ引いて真っすぐ振り出しやすいことだ。ただ、重心が深いため距離感を合わせにくい弱点がある。フェースがボールに当たった後もヘッドを加速し続けてしまうのだ。ネオマレット型は、方向性に優れるが距離感に難がある。
手首を使ってアイアンのようにボールを打つL型のパターの長所は、距離感を出しやすいことだ。ただ、フェースを開いて閉じて打つので方向性に難がある。
打ち方も距離感も異なる「L型」「ピン型」「マレット型」を渡り歩くのはご法度である。同じマレット型でも、ヘッドの形状や大きさを変えるのも禁物だ。重心の深さが変われば距離感が変わるのだ。身に付けている距離感をあえて捨て去るのははっきり言って賢明ではない。
ラウンドでスタート前にする大事な仕事は、練習グリーンでボールを転がしてグリーンの速さをつかんで、自分の距離感を調節することだ。グリーンの速さは季節や天気によって日々変わる。その日のグリーンの速さに対応できなければ3パットを連続してしまう。
あるとき愛用パターを自宅に置き忘れて、コースで名も知れぬカマボコ型パターを借りてラウンドしたことがある。その日のグリーンの速さに合わせるだけでなく、不慣れなパターにも対応する必要があった。言うまでもなく、その日のパットは絶不調!
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