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農産物輸出の増加と農業のグローバル化

真の農産物輸出振興策は減反の廃止である

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

政府のアプローチは正しい

 各紙が2015年農林水産物・食品の輸出が前年を21%上回る7,452億円となり、3年連続で過去最高を更新したと報じている。

 TPP反対の大運動を展開したように、農業界はグローバル化が嫌いである。しかし、いくら国内市場を高い関税で守ったとしても、国内市場が高齢化と人口減少で縮小する中では、海外市場を開拓しなければ、農業は生き残れない。

 政府が2020年に農林水産物・食品の輸出を1兆円に増やすという目標を掲げているのは、正しいアプローチだ。これは農業に限らない。世界の市場に通用するような財やサービスを提供できれば、国内の人口減少を問題にしなくてもよい。最善の人口減少対策はグローバル化である。

 農業でも、グローバル化を利用して成功した例もある。イギリスに日本では評価の高い大玉を輸出したが評価されず、苦し紛れに日本では評価の低い小玉を送ったところ、やればできるではないかといわれたという、あるリンゴ生産者の話がある。

 これは経営的にも示唆に富む。自然相手の農業では、大玉も小玉もできてしまう。大玉ばかり、小玉ばかり、作るわけにはいかない。しかし、大玉は日本で、小玉はイギリスで販売すれば、売上高を多くすることが可能となる。

農産物の輸出増加を手放しで喜べるか

 しかし、農産物の輸出の増加を手放しで喜んでいいのだろうか? 

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。20年東京大学公共政策大学院客員教授。「いま蘇る柳田國男の農政改革」「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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