真の農産物輸出振興策は減反の廃止である
2016年03月09日
各紙が2015年農林水産物・食品の輸出が前年を21%上回る7,452億円となり、3年連続で過去最高を更新したと報じている。
TPP反対の大運動を展開したように、農業界はグローバル化が嫌いである。しかし、いくら国内市場を高い関税で守ったとしても、国内市場が高齢化と人口減少で縮小する中では、海外市場を開拓しなければ、農業は生き残れない。
政府が2020年に農林水産物・食品の輸出を1兆円に増やすという目標を掲げているのは、正しいアプローチだ。これは農業に限らない。世界の市場に通用するような財やサービスを提供できれば、国内の人口減少を問題にしなくてもよい。最善の人口減少対策はグローバル化である。
農業でも、グローバル化を利用して成功した例もある。イギリスに日本では評価の高い大玉を輸出したが評価されず、苦し紛れに日本では評価の低い小玉を送ったところ、やればできるではないかといわれたという、あるリンゴ生産者の話がある。
これは経営的にも示唆に富む。自然相手の農業では、大玉も小玉もできてしまう。大玉ばかり、小玉ばかり、作るわけにはいかない。しかし、大玉は日本で、小玉はイギリスで販売すれば、売上高を多くすることが可能となる。
しかし、農産物の輸出の増加を手放しで喜んでいいのだろうか?
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