地域活性化のため、農業と観光産業の育成を
2016年04月26日
2013年12月13日に国家戦略特別区域法が施行されてから2年以上が過ぎた。国家戦略特区は安倍政権の成長戦略の柱としてTPPと並んで重要な経済政策の1つである。にもかかわらずTPPに比べるとマスコミや国民の関心は薄い。なぜなのか。もしかすると多くのマスコミや国民は、TPPに比べて問題のない経済政策だと考えているのかもしれない。
確かに経済特区と認められる特区は、世界に3000カ所以上あり、成果を上げている所も少なくない。しかし、そのほとんどは経済発展が進んでいない開発途上国にある。日本のような先進国ではほとんど見ることができない。
すなわち安倍政権が提唱する国家戦略特区は、極めて異質な特区(筆者はそれを「異形の特区」と呼んでいる)と言わざるを得ない。そして異形であるがゆえに、大きな問題を含んでいるといわざるを得ない。
なぜ大都市で多くの規制を緩和する必要があるのか。それは、「国家戦略特別区域基本方針」にうたわれている「世界で一番ビジネスのしやすい環境」を作るためだ。まさに外資が進出したいと考えている都市の規制を、一つでも多く緩和しようとしていることに他ならない。
しかし、これではたとえ国家戦略特区がうまく機能したとしても、地域間格差を拡大させることになる。つまり国外には対しては日本に来てもらうために、長い時間をかけて作り上げた社会制度を放棄し、国内においてはますます東京一極集中に象徴される地域間格差を拡大させることになる。従って、国家戦略特区は決して日本社会を豊かにするものではない。
そして国家戦略特区の最大の問題は、本来経済特区での規制緩和は外資を呼び込むための手段であるはずが、国家戦略特区では目的化しているということだ。この間国家戦略特区の具体的な制度設計等の検討を行うために設置された「国家戦略特区ワーキンググループ」の議論を見ていると、特区であれば規制緩和が許されるとし、規制緩和を実現するために特区を利用しようとしているように見える。
つまり国家戦略特区の目的は、特区を口実に規制緩和の領域を広げることにある。それは、特区以外の地域にも規制緩和の網を広げるということだ。それを端的に表したのが、2014年に厚生労働省が明らかにした混合診療を100の大病院に拡大すると提案したことだ。当初混合診療は、国家戦略特区の規制改革メニューであったにもかかわらず、規制改革会議などでも議論され、同会議の提言として提唱され、それに呼応する形で厚労省が提案したのである。
すなわち、国家戦略特区で規制緩和を声高に叫び続けることにより、それが特区以外で議論されても国民の多くは特区でのことと錯覚し、気づいてみれば特区以外にも拡大されてしまうということだ。
従って、あれだけ多くの規制改革メニューをそろえながら、特区はわずか10で構わないのだ。
なぜ安倍政権は国家戦略特区を利用し、世界でもっともビジネスのしやすい国を作ろうとしているのか。冒頭でも述べたように世界には3000を超える経済特区が存在している。そこには既に世界中の多国籍企業が進出している。その特区を捨ててまで日本に来るインセンティブはない。
それでも日本は国家戦略特区を作ろうとしている。なぜか。それはTPPの発効が迫っているからだ。TPPの目的は「例外なき関税撤廃」だが、
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