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かなりの接戦が予想される米大統領選

トランプ大統領になった場合は、アジア政策がどう変わるかに注目する必要がある

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

白人有権者層では学歴によって支持候補が分かれる傾向に

民主党の大統領候補の指名を受諾後、最初の集会で演説するクリントン前国務長官(左)。夫のビル・クリントン元大統領が見守った=7月29日、フィラデルフィア、ランハム祐子撮影拡大民主党の大統領候補の指名を受諾後、最初の集会で演説するクリントン前国務長官(左)。夫のビル・クリントン元大統領が見守った=7月29日、フィラデルフィア、ランハム祐子撮影

 去る7月26日、民主党大会の2日目、ヒラリー・クリントン前国務長官が正式に民主党の指名を獲得した。これで11月8日の大統領選挙は共和党のドナルド・トランプと民主党のヒラリー・クリントンとの戦いになる。共和党の副大統領候補はインディアナ州知事のマイク・スペンス、民主党の副大統領候補はティム・ケイン上院議員だ。

 7月末にCNNとORC(調査機関)が実施した世論調査によると支持率はトランプ44%、クリントン39%とトランプ支持がクリントン支持を上回っている。もっとも、共和党大会直後の調査なので、多少、トランプに有利だったのかもしれない。

 世論調査がトランプに有利に傾いたのはトランプが無党派層の間で支持を広げたことが主な要因だと見られている。大会後の調査では無党派層の46%がトランプ支持、28%がクリントン支持だった。

 両者の支持率は白人有権者の間では学歴によって分かれる傾向が強まっている。白人の大学卒層をみると、大会前は両氏の支持率が40%だったのに対し、大会後はクリントンが44%対39%でリードしている。一方、高卒以下の層ではトランプが強く、大会前の51%対31%から大会後は62%対23%までリードを広げている。

 登録有権者全体の中でトランプに好意を持っていると答えた人の割合は、大会前の39%から46%に上昇した。同氏に経済政策・テロ対策を任せられると答えた人はクリントンを10ポイント上回る一方、クリントンに外交を任せられるとの回答は大会前後で57%から50%に減少している。

評価する意見が増えるトランプ氏と低迷するクリントン氏

演説するトランプ氏=6月22日、ニューヨーク拡大演説するトランプ氏=6月22日、ニューヨーク

 大会前後で、トランプを「正直で信頼できる」(38%から43%)、「自国の大統領として誇れる」(32%から39%)、「市民が暮らしの中で直面する問題を把握している」(37%から46%)、「国民を結束させることができる」(34%から42%)と評価する意見が軒並み増加している。

 他方、クリントン支持は低迷しており、「正直で信頼できる」人物でないと答えた人は68%と、CNNの世論調査では同氏として最高の数字になっている。ヒラリー・クリントンは元大統領夫人で前国務長官(2009年1月~2013年2月)、エスタブリッシュメントとの評価が強く、「変化」を望むタイプの選挙民には受けない形になっている。

 また、国務長官時代、法律に違反して、「自宅に設置したメールサーバー」を使って公的な交信をしていたことが問題視され、これが大きな傷になっていて、ドナルド・トランプをはじめ多くの共和党支持者達がヒラリーを激しく批判している。

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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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