家庭や工場、交通機関などあらゆる世界でIoTが新たな未来を開こうとしている
2016年10月19日
突然だが、20年前の1996年にタイムスリップしてみよう。
リオ五輪ではなく、アトランタ五輪が開かれた年だ。
総務省のウェブサイトによれば、この年、携帯電話の普及率が19.8%に達している。およそ5人に1人が携帯電話を持つようになった時期ということで、アラフォーの方々であれば、「確かにこの頃に携帯電話を手に入れたっけ」という方が多いのではないだろうか。
http://www.soumu.go.jp/soutsu/tokai/tool/tokeisiryo/idoutai_nenbetu.html
そうした方々は、ぜひ思い返してみてほしい。初めて携帯電話を手にして、世界はどのように変わっただろうか?
自分がどこにいても、誰かにメッセージを伝えたり、逆に誰かのメッセージを受け取ったりできる。予定に遅れそうだったら、相手に電話してそう伝えればいいし、大事な予定を忘れたら、家族や同僚に電話して教えてもらえばいい。どこでも誰かとつながれるということが、想像以上の価値を持つことを実感したはずだ。
携帯電話の普及が人々の生活を一変させてから20年後。まったく同じ劇的な変化が「モノ」の世界に起きようとしている。それこそIoT(Internet of Things)、「モノのインターネット」という現象である。
IoTと言うと難しそうに感じられるかもしれないが、20年前の私たちと同じように、様々なモノが携帯電話を持ち始めたのだと考えてほしい。
たとえば外出先で、「そういえば家のカギを閉めただろうか」などと心配になっても、もはやあわてて帰る必要はない。ドアに携帯電話を持たせ、連絡可能な状態にしておき、閉め忘れていたら自分で閉まってもらえば良いのだ。逆に誰か特定の人が来たら、開くように指示することもできるだろう。
もちろん実際のIoTでは、カギが携帯電話を抱えて待っているわけではなく、インターネットを通じてさまざまな指示やデータが行き来する。カギ以外にもあらゆるモノがインターネットにつながるという意味で、「モノのインターネット」と表現されているのである。
実はこのたとえ話、すでに現実のものとなっている。
ドア全体ではなく、カギ(錠)をインターネットにつなぐという仕組みなのだが、スマートロックと呼ばれる製品カテゴリーが登場しており、実際に購入して使うことができるのだ。
たとえばそうしたスマートロックのひとつ、フォトシンスから発売されている「Akerun(アケルン) 」https://akerun.com/は、サムターン式の錠に工事いらずで取り付けることのできる、外付け式の製品である。これにインターネットと接続するための付属機器を用意しておくと、専用のアプリを通じて、先ほどのようにネット経由で施錠・開場することが可能になる。
また企業向けには、多くの人々が出入りする施設を想定した管理機能が用意されており、誰がどのカギを開けられるのかをコントロールしたり、いつどのカギが誰によって開閉されたのかを確認したりといったことができるようになっている。
カギというごく日常的な、たわいのないモノまでネットにつながり、ネット経由で他のさまざまなモノ・人とつながることができる――そんな「IoT時代」が到来しているのだ。
携帯電話の普及によって、ビジネスのあり方も大きく変わった。出先からでも簡単にオフィスと連絡を取り、お客様の動きを把握して、急な予定変更にも迅速に対応する――もはや携帯電話なしで仕事するなど考えられない、という人が多数派だろう。
もっと大きな変化もある。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください