2016年10月21日
国会のTPP特別委員会質疑をテレビ中継で見た。残念ながら、国会の論戦とはこの程度なのかと思った。野党の質問は、口調は激しいが、的を外しているものがほとんどだった。
まず、交渉の過程を明らかにすべきだという、繰り返し与党・政府を攻撃してきた論点である。
政府間のいかなる交渉でも、民間の交渉でも、誰が何を言ってどう反論したとか、どれだけ要求してどこで落ち着いたかなどの途中経過を明らかにできないのは当然である。もし、日本政府の担当者が交渉の内容をペラペラと外部にしゃべるようなら、どの外国も日本とは怖くて交渉しようとしなくなるだろう。野党の質問は国益を損なうものだ。
また、交渉というのは一直線で終わるのではなく、山あり谷ありで、また、やり取りする中でお互いのポジションが変わってくることもある。国会に承認を求めているのは、交渉の経緯ではなく交渉の結果としての協定である。その結果が国益に反するというのであれば、国会は堂々と否決すればよい。
野党は、与党・政府が交渉経緯を明らかにできないのはわかっていて質問しているのだろう。政府を長時間攻撃していることを示したいという時間稼ぎの質問である。
輸入米の調整金を、敵失を取ったと思ってやたら時間をかけて攻撃している。しかし、質問内容を聞くと、質問者が基礎的な経済学も理解していないことがよくわかる。農政に素人の農林水産大臣のたどたどしい答弁のほうが、経済学をよく理解している。
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