いずれ三大通貨の時代がやって来るだろう
2016年11月18日
第2次世界大戦を経て世界のスーパーパワーになったアメリカは、USドルを金にリンクし、金・ドル本位制をまず確立したのだった。1945年から1971年まで、アメリカは金1オンスを35USドルと結びつけることによって、つまりいつでもUSドルをこのレートで金と交換することを約束することによって、USドルを世界の基軸貨幣にしたのだった。
しかし、1971年、いわゆるニクソン・ショックによって、金とUSドルのリンクは断たれ、金ドル本位制は終焉(しゅうえん)し、ドル本位制の世界がつくられていったのだった。戦後のアメリカの圧倒的な経済力は、金のバックなしにドルを基軸通貨として通用させることを可能としたのだ。
しかし、USドルが金とのリンクを絶たれたことによって、金・USドルを軸とする固定相場制は崩れていくことになる。周知のように1971年8月15日までは、1USドルは360円に固定されていったが、ニクソン・ショックによってそれが崩れてしまったのだった。
その後、先進各国はアメリカのスミソニアン博物館で会議を開く等して、固定相場の相対的レートを変更し、固定相場を維持しようと努めたが成功せず、1973年には変動相場制へ移行することになっていったのだ。
1ドル360円だった円は次第に上昇し、200円台からさらには100円台に、そして1995年春にはついに1USドル80円を割ってしまったのだった。
さすがにこのレートには日本もアメリカも危機感を持ち、協調介入等を繰り返し、95年末までには1USドルを100円台まで戻すことになった。
この時期、筆者は大蔵省(現財務省)の国際金融局長(現国際局長)、アメリカ財務省の国際問題担当の次官ローレンス・サマーズ(後に財務長官・現在はハーバード大教授)等と協力して円高・ドル安是正を実現したのだ。日本が極端な円高を修正しようとしただけではなく、アメリカもドル安を逆転させようとしたのだった。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください