二重国籍問題をめぐって
2016年12月05日
民進党の蓮舫代表の二重国籍問題が大きなイシューになっている。産経ニュース等の報道によると2016年10月6日まではこの状況が続いていたというのだ。国籍法によると、20歳までに二重国籍となる可能性が生じた時は22歳までに国籍選択をすることになっているので、その選択をしていなかったことは明らかな国籍法違反だ。
民進党は民主党と維新の党が合流し、2016年3月27日に民主党が改称することによって結成されている。そして9月15日、蓮舫代表が選出されている。この時点ではまだ蓮舫代表は台湾国籍を有していた。また、奇妙なことに台湾与党は民主進歩党、略称は民進党だ。つまり、日本の民進党は台湾与党と同じ名称を持ち、しかも台湾国籍を持っていた蓮舫氏を代表として選んだのだった。
蓮舫代表の本名は村田蓮舫、台湾人の父謝哲信と日本人の母斉藤桂子の間に生まれている。東京で生まれ、青山学院幼稚園から青山学院初等部・中学部・高等部を経て青山学院大学法学部を卒業しているが、1995年から97年に2年間北京大学に留学している。
青山学院大学在学中に「1988年度クラリオンガール」に選ばれ、その後タレント・テレビキャスター等として活躍している。2004年の参院選に出馬して当選、2009年に成立した民主党政権では内閣府特命大臣(行政刷新担当・さらに消費者及び食品安全担当等)を務め、内閣総理大臣補佐官を経て2011年には再び内閣府特命大臣(行政刷新担当)に返り咲いている。
2012年12月第二次安倍晋三内閣の成立により民主党が野党に転じたあとの2016年9月2日の民進党代表選挙に前原誠司・玉木雄一郎と共に立候補し、9月15日の選挙で第一回投票において過半数を獲得して第二代代表に選出されたのだった。幹事長には元総理の野田佳彦を任命し、「戦犯を起用した」等の批判も受けている。野田は民進党代表選挙では蓮舫代表の推薦人に名を連ねていた。
二重国籍問題は一般人の場合はそれほど問題にならないだろう。例えばアメリカで生まれた日本人はその時点でアメリカ国籍を与えられる。日本の国籍法では20歳に達したら2年以内に国籍を選択すべきとされているが、他国の国籍の放棄は義務づけていない。したがって、日本では50万人を超す多重国籍者がいるとされている(平成20年の集計では58万人)。
外交官等、外務公務員については多重国籍者を欠格事由としている。他の国家公務員については法律上の直接規定はないが、キャリア官僚の場合は、他省庁であっても外務省への出向が想定されており、多重国籍者は事実上制限されている。
日本国籍を持つ多重国籍者が選挙に立候補することは可能だし、国務大臣や内閣総理大臣になることも法律上は可能である。事実、蓮舫代表は民主党政権下で二重国籍を持ちながら内閣府特命大臣に就任している。また、自民党の小野田紀美もアメリカで生まれ、米国籍を保有している。現在アメリカ国籍からの離籍を手続き中だという。
国会議員の二重国籍問題については、去る2016年9月28日、日本維新の会の馬場伸幸幹事長の質問に答えて、安倍晋三総理は「被選挙権の問題は民主主義の土台である選挙制度の根幹に関わる事柄であり、各党各会派で議論すべきことだ」と述べ、慎重な姿勢を取っている。馬場氏は「国会議員は外交交渉を行う閣僚や首相になる可能性がある。国籍を制限することは不自然ではない」と迫ったが、総理は「二重国籍者は外交官になることはできない。外交交渉では国益と国益がぶつかるからだ」とかわしている。
しかし、野党の党首ともなれば話は別なのではないだろうか。
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