企業にとっても大きなメリットがある、副業の促進
2017年01月04日
兼業や副業に関する議論がにわかに活発になってきた。きっかけのひとつは、ロート製薬による、副業解禁の発表だろう。とはいえ、今これだけ関心が高まっているのは、より大きな構造変化、働き方の変化を皆が感じ始めているからではないだろうか。
制度的な制約等もあり、現実の働き方はそこまでの変化が感じられないかもしれない。しかし、ITの進展によって、仕事の仕方に関する自由度は、たとえば10年前と比べても劇的に変化している。そのような技術的変化に合わせて、我々の実態としての働き方も、もっと自由度を高めていくことが、多くの人がより良く働けるために必要なことだろう。兼業や副業に関する議論も、そのような大きな流れの一つとして考えるべきだ。
個人の視点から副業のメリットを考えると、大きく分けて、生活防衛的なメリットと、より積極的な活動のメリットがあり得る。生活防衛的なメリットとしては、一つの会社からリストラされた場合でも、別の仕事があれば、それである程度の収入を得られる点があげられる。もちろん、本業の給与の代わりにはならないだろうが、ないよりはずっとましで、大きな保険になり得る。
また、本業で十分な仕事や所得が得られない場合でも、複数の仕事をこなすことで、トータルで十分な所得が得られるケースも多い。フルタイムで働くことが難しい状況にある人も、副業的な仕事のマーケットが広がってくれば、仕事をして活躍できる機会も広がってくるだろう。
積極的な活動のメリットとしては、新しい仕事を身につける上で生じるリスクを減らせる点が大きい。たとえば、少し分野の異なった会社への転職、再就職あるいは起業を考えたとしても、それをいきなりするにはリスクが高い。必要な知識や能力が良くわからないケースも少なくないからだ。しかし、それを副業としてスタートさせていれば、自分の適性や必要な能力の把握は容易だ。ある程度うまくいったらそちらを本業にする、あるいは逆にうまくいかなかったら撤退することも容易にできる。
今や、どれだけ伝統のある大企業であっても、どれだけ雇用を第一に考える会社であっても、残念ながら安穏としていられる時代ではない。もっと社外で通用するスキルを身につけるという意味でも、副業を積極的に考えていく必要があるだろう。
その一方、企業の側からは
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