「健康」と「幸せ」の関係を考える
2017年02月27日
日本では、2000年に健康増進法に基づき『21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)』が始まった。2013年に全部改正が行われ、『健康日本21(第2次)』には健康増進のための基本方針として、「健康寿命の延伸と健康格差の縮小」が掲げられている。幸せに暮らすためには、ただ長生きするだけではなく、誰もが健康寿命(日常生活に制限のない期間)を延ばすことが重要だからだろう。
2016年5月、OECDは加盟34カ国にロシア、ブラジル、南アフリカ、ラトビアを加えた38カ国の幸福度(well-being)指標である「Better Life Index:BLI」を公表した。BLIは生活の11分野の指標から構成されており、日本は総合23位だ。「所得」や「教育」などの分野で高いスコアを獲得する一方で、「ワーク・ライフ・バランス」や「健康」などにおける評価が低い。日本は「健康」分野で38カ国中の34位と低迷している。その理由は、「平均寿命」が1位にもかかわらず、「主観的健康(Self-reported health)」において「(非常に)良い」と答えた人の割合が最下位になっているからだ。
『健康日本21(第2次)』においても、目標の実現に当たり「自分が健康であると自覚している期間」についても留意するとしている。「主観的健康寿命」とも言える同期間は、健康寿命を下回っており、その延びも2001年から10年までの間に男性で0.35年、女性で0.37年に過ぎない。誰もが加齢による衰え(老化)を経験する超高齢社会では、健康状態が万全でなくなるのは当然だろう。今後は、客観的な健康寿命を延ばす努力と同時に、なんらかの日常生活の制約が生じても、自らが幸せと思える「主観的健康寿命」を延ばすことも重要ではないだろうか。
『健康日本21(第2次)』のもうひとつの基本方針は「健康格差の縮小」だ。健康格差は職業、所得、教育、性別、地域環境、社会心理など多くの社会経済要因から生じている。健康のひとつの代替指標として平均寿命を捉えると、富裕層ほど平均寿命が長いという調査結果がある。所得が多ければ健全な食生活や運動習慣が身につき、疾病予防のための保健医療資源へのアクセスも容易だからだろう。もちろん、健康だから所得が多いという逆の因果関係も想定される。
では、性別における健康格差はどうだろう。2015年の平均寿命は、男性80.79歳、女性87.05歳とその差は6.26年だ。男女差の推移をみると、
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