アメリカ、フランス、そして韓国
2017年06月02日
即成政治、あるいは既存政治家への不信が世界各国で拡大している。
2016年11月8日のアメリカ大統領選挙では、事前の予想に反して共和党のドナルド・トランプが僅差(きんさ)で勝利した。民主党のヒラリー・クリントンは元ファースト・レディーであり、かつオバマ政権下の国務長官。ワシントン政治の中枢に長くいたベテラン政治家、対するトランプは実業家出身で、政治の世界の経験は浅い。獲得票数ではヒラリー・クリントが上回ったが、中西部・南部を抑えたトランプが、選挙人獲得数ではヒラリー・クリントンを抑え、勝利したのだった。僅差とはいえ、アメリカの選挙民は既成政治家を否定し、新しい流れを求めたのだった。
そして2017年5月7日のフランス大統領選挙。1回目の投票で、社会党のアモン、共和党のフィヨンが破れ、無所属のマクロンが決選投票に進んだのだった。
前大統領のフランソワ・オランド(2012~17年)は社会党、その前任者のニコラ・サルコジは共和党だったが、今回は社会党も共和党も決選投票に残れなかったのだ。
アメリカと同様、フランスでも既成政党に対する不信感が強くなっていたのだ。2017年5月14日、フランス大統領に就任したエマニュエル・マクロンは社会党に属していたが(2006~09年)、2009年に無所属に、そして2016年には新政党アン・マルシェ(前進)を新たに組織し、選挙に挑んだ。
マクロンはフランソワ・オランド前大統領の側近で、2014年には第2次マニュエル・ヴァルス内閣(大統領はオランド)で経済・産業・デジタル大臣になっているが、元投資銀行員(2008~12年、ロスチャイルド家の中核銀行であるロチルド&Cie)という異色の経歴を有している。
そして、「左派でも右派でもない政治」を目指すと宣言し、前述した新組織「前進」を組織し、新しい政治家としてのイメージを定着させたのだった。既存の政治に不信感を強め、新しい流れを求めていた選挙民に巧みにアピールしたのだということができるのだろう。
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