2017年07月03日
2017年4月から5月のフランス大統領選挙で、独立系候補として立候補したエマニュエル・マクロンが元首相の共和党のフランソワ・フィヨン、元教育大臣の社会党のブノア・アモンを破り、大統領に当選した。
共和党は2007年~2012年、第23代大統領二コラ・サルコジを出した中道右派の政党であり、社会党は1981~95年に大統領を務めたフランソワ・ミッテラン、2012~17年の大統領フランソワ・オランドを有した中道左派の有力政党だ。しかし、今回の選挙では共和党のフランソワ・フィヨンも社会党のブノア・アモンも3位と5位に甘んじ、決選投票にも残れなかったのだ。
決選投票は独立系「アン・マルシェ」のエマニュエル・マクロンと、極右国民戦線のマリーヌ・ル・ペンの間で争われ、マクロンが有効投票の66%を得て大勝したのだった。
マクロンはかってフランス大統領フランソア・オランドの側近で大統領府副事務総長を務めたが、2009年には社会党を離れ、無所属に、そして2016年に新政党「アン・マルシェ!(前進!)」を組織したのだった。
マクロン大統領は大統領選に勝利したばかりでなく、6月18日に行われたフランス国民議会(下院)選決選投票で、新たに中道新党「共和国前進」を組織し、約6割の議席を獲得し、圧勝したのだ。
エマニュエル・マクロン新大統領はフランス国立行政学院(ENA)を卒業し、会計監査官を務めたエリートで、現在39歳。フランス史上最年少の大統領となったのだ(今までは1848年の第2共和制発足時に40歳で大統領に就任したナポレオン3世が最年少だった)。マクロン大統領夫人は25歳年上のブリジット・マクロン。高校時代の恩師で、家族の反対を押し切って29歳で結婚している。
議会も制した新大統領はこれからは「数の力」を背景に、これまでに公約した労働規制緩和をはじめとする改革を推進するとしている。既存政党に不満を高めていたフランス選挙民は若きエリート、エマニュエル・マクロンに国の将来を託したのだ。マクロン新大統領はEUを強く擁護し、EUを離脱したイギリスには批判的である。
2017~18年はヨーロッパの選挙の年。9月24日にはドイツ連邦議会選挙、2018年5月までにはイタリアで総選挙が行われる。ドイツの選挙ではアングラ・メルケル首相が政権を維持できるかどうかが焦点になっている。
有料会員の方はログインページに進み、朝日新聞デジタルのIDとパスワードでログインしてください
一部の記事は有料会員以外の方もログインせずに全文を閲覧できます。
ご利用方法はアーカイブトップでご確認ください
朝日新聞デジタルの言論サイトRe:Ron(リロン)もご覧ください