男女平等社会の実現に資する、非正規公務員の正規化
2017年07月18日
2016年2月。韓国を訪れた私は、ソウル市中心部の光化門前広場に、白いテントが広がっている光景を眺めていた。
氷点下2度。ビジネス街の高層ビル群の隙間を縫い、弱々しい光の粒と小雪が舞い込む。広場に面して垂直に走る大通りに最も近いテントには、15歳の高校一年生たちの写真が、何枚も飾られている。高校入学直後の新入生合宿で、クラス単位で撮られたその集合写真は、春の陽光に包まれた若々しい笑顔が並んでいた。
2014年4月16日、修学旅行中の高校生ら死者295人、行方不明者9人を出した韓国旅客船セウォル号の沈没事故が発生した。最高検察庁によるセウォル号惨事に対する最終捜査結果(2014年10月6日)では、事故原因は、海運会社が船を無理に増・改築し、過剰積載状態で出港した後、船員の運航の過失で沈没したとしている。また救助に行った海洋警察署の問題ある対処により、死亡者が増えたとしている。事故時、船長は操舵室を留守にし、乗客の避難誘導をせず真っ先に脱出をはかり、9時35分頃に到着した海洋警察の船で最初に保護されていた。
船長を含め乗組員のほとんどが契約社員で、正社員はいなかった。
これらから、事故の背景には、韓国社会に広がる市場原理主義や非正規雇用問題があるとの指摘もなされる。
光化門広場に広がるテント群は、犠牲となった高校生達の親たちが真相の徹底究明を求め、半ば強引に広場を占拠して張ったものだった。日本で言うならば、皇居前広場のような場所で、黄色いリボンを形取ったグッズの配布やコンサート、署名活動、追悼行事、政権批判のデモンストレーションなどが途切れることなく、波状的に取り組まれた。
こうした遺族たちの行動に、朴槿恵(パク・クネ)政権はあまりにも冷ややかで、広場から遺族たちを追い立てようとしていたのだが、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は異なる対応をした。2014年7月、広場を占拠し、座り込みを続ける遺族たちに、市所有のテント13台を設置し衣類などを提供した。2015年5月28日には、朴市長は、座り込みを続ける遺族に対し反発が強まっていることについて、「みんな追い出してしまっていいものか」と遺族を擁護する発言をし、今日まで、その活動を支援し続けている。
寒空の下の広場には、温かい飲み物を提供するテントが一つだけあった。
私は、紙コップとスティック状のインスタントコーヒーをいただき、お湯を注ぎ、冷えた体を温めた。支払いをしようとすると、「これはフリーなんだ。日本からわざわざ来てくれてありがとう」と、悲しみを湛えたまなざしで笑顔を返してくれた彼も、遺族の一人だった。
事故から1年9カ月が経った2016年1月12日。生き残った83人の生徒たちが、卒業式を迎えた。犠牲になった生徒の親の一人は、門出を迎えた我が子の友達に、Facebookでお祝いのメッセージを贈っていた。その末尾には次のように書かれていた。
みなさんにお願いしたいことが一つだけあります。
私たちのように、愚かで馬鹿な大人にはならないでください。絶対に。
みなさんは私たちのように、子どもを亡くしてからようやく、何 が間違いだったのか気づくような大人になってはいけません。絶対に。
我が子を見つめる心情で、これから皆さんが進む道を応援します。
非正規化は、雇用劣化を伴う。人々を分断し、そして社会不安をもたらす。
たくさんの若い命を奪ったセウォル号事件は、社会全体の非正規化と雇用劣化にその遠因があった。そしてセウォル号事件への誤った対応がきっかけの一つとなって、朴槿恵政権は急速に求心力を失い、弾劾という形でその座をおわれた。
「非正規」と呼ばれる人たちが働く者の4割にも達する日本でも、格差と分断が進行している。「自己責任」の名の下に、このような状況を放置している段階は過ぎた。
いま政府がなすべき仕事は、分断された社会を統合するために雇用の安定と処遇の改善を進めることなのだが、これを真摯に実践している自治体が、先に紹介した朴元淳市政の韓国・ソウル市なのである。
周知のとおり、韓国社会は、1997年のIMF危機以降、労働の非正規化が加速し、政府統計によると、2007年には非正規率は35.9%に及んだ。韓国の公共部門労働者の状況も同様で、2006年には、中央政府・地方自治体・公共機関・教育機関に勤務する職員155万3704人のうち、直接雇用・非正規労働者が31万1666人で20.1%、間接雇用の派遣・請負労働者が6万4822人で4.2%、すなわち公共部門労働者の4人に1人は非正規労働者だったのである。
この時点で韓国社会は早めの手をうち、2007年には「期間制および短時間労働者保護等に関する法律」(以下、「期間制法」という)をはじめとする非正規労働者保護法が施行された。しかし、その後の非正規労働者の処遇改善・権利保護の改善はめざましいものではなかった。
これに対し、2011年10月にソウル市長に当選した朴元淳市長は、その選挙公約である「希望約束」で、「持続可能な発展と社会・経済の二極化の解消による社会統合を図るために非正規労働者問題に先導的に対応する」ことを掲げ、就任後、次々と「希望約束」を実現し、後に述べるように、7000人以上のソウル市の直接・間接雇用の非正規労働者を正規化している。
2012年3月、ソウル市は、「公共部門第1次非正規職雇用改善対策」を公表し、5月1日に第1次措置として1,133人、続いて2013年1月1日に第2次措置として236人、合計1,369人の直接雇用非正規労働者の無期転換措置を実施した。日本と異なり、韓国では政府組織で働く非正規労働者に、日本のパート労働法や労働契約法に該当する期間制法が適用となっている。
韓国社会では、非正規労働者の無期契約転換後の労働条件が、非正規時の低い労働条件のままである事例が数多く見られ、これらのケースは、正規でも非正規でもない「中規職」と呼ばれた。これに対しソウル市における無期転換事業は、処遇改善を伴うもので、まさしく正規化事業と呼ぶにふさわしいものであった。
正規公務員と直接雇用非正規労働者との格差解消は、まず給料表の適用問題として表れた。日本と同様に、韓国の公務員給与制度も経歴・勤続年数による年功賃金制をとっている。
ソウル市では、無期転換した労働者に給料表を全面的に適用し、勤続年数に応じて昇給するものとした。その結果、直接雇用転換者の年収は大幅にアップし、年収1,500万ウォンから1800万ウォンへと2割上昇した。このほか、福祉ポイント、退職金、健康診断料、年次有給休暇の買い上げ、時間外手当等も整備した。とりわけ「福祉ポイント」は正規公務員と同一適用している。また、無期転換措置から外れた非正規労働者(全非正規労働者の7割強の3,621人)に関しては、正規公務員と同一の年間福祉ポイントとして一人当たり130万ウォンを付与することとした。さらに、正月などの休暇手当として、年110万ウォンを付与することとした。
直接雇用・無期転換しながらも、転換された者には、ソウル市で働く「公務員」とは異なるという心理的な壁の問題があった。
2011年12月19日、就任直後の朴市長は、民間の公共サービス事業の労働者を組織化する労働組合の幹部と面会した。面会の折、労働組合幹部は、朴市長に要求案を出すとともに、次のような要請を行った。
「私どもは名前の無い労働者です。だから私たちに名前を下さい、公務職という名前を下さい」
2012年5月1日、ソウル市では、新たに直接雇用した労働者について、公務員法が適用となる「公務員」と対比させ、「公務職」と名づける条例の制定を行い、「公務職証」と書かれた身分証を発行した。
清掃、警備・施設管理等の現業部門に従事する労働者の呼称は、最初は「日雇人夫」と言われ、その次は「常用人夫」と言われていたのである。
雇用が安定し、処遇が改善し、何よりも名称が変わると、仕事に誇りを持ち、業務改善運動にも取り組み始めることになった。すなわち、「人夫」と言われ、蔑まれていたときには、奴隷のように誰かの指示を受けて働いていた者から、自分たちが自発的に動き、この職場で起こるすべての事柄を自分の仕事だと思うようになった。公園管理の仕事であれば、この公園を「私たちの家」と見立て、誰かの指示によって木の枝を刈るのではなく、公園全体を管理することを自らの仕事と思えるようになったのである。
2012年12月、ソウル市は「公共部門第2次非正規職雇用改善対策」として、ソウル市の業務委託事業で働く間接雇用労働者を対象とし、今後5年間で段階的に無期転換すると発表した。ソウル市の出資団体であるソウル地下鉄、都市鉄道が7割を占め、大部分が清掃労働者である。
計画では、第一段階(2013~14年)として、間接雇用の清掃労働者4,255人をソウル市関連の子会社の直接雇用の有期雇用労働者に転換し、期間制法による無期雇用転換措置が有効となる2015年4月をまって無期転換するというものであった。間接雇用の清掃労働者の平均年齢は高く、委託事業所での定年年齢も57~58歳であったことから、ソウル市はソウルメトロ環境、都市鉄道グリーン環境という子会社を設立(前者は2013年6月1日、後者は同年4月1日)し、同会社での直接雇用として65歳までの定年を保障することとした。そして、2013年6月1日から、順次、子会社に移籍し、2015年4月から4,255人の有期の直接雇用労働者が無期転換している。
第二段階(2014~15年)は、施設関係並びに警備関係の間接雇用労働者を対象とし、1,249人を有期の直接雇用とし、期間制法による無期転換措置が有効となる2016年4月に無期転換を果たした。
さらに第三段階(2015~16年)として、駐車場整理、案内、運転などその他分野の間接雇用労働者423人をソウル市の有期の直接雇用化し、2017年4月に無期転換している。
したがって、ソウル市では、2017年4月段階で、ソウル市の業務委託事業で働いていた間接雇用労働者5,927人を直接雇用化し、無期雇用に転換しているのである。(図表2)
「第2次非正規職雇用改善対策」でも、2014年にソウル市の直接雇用となった施設・警備業務の労働者の平均賃金が7.3%引き上げられるとともに、福祉ポイントや休暇手当等が付与され、65歳定年制も導入された。ソウル地下鉄の清掃分野でも、月給が30万ウォン程度上昇し、勤続年数も伸びた。また8人の中間管理職のうち4人が退職した時点では、女性の清掃労働者がはじめて管理職に昇進するという職場環境の変化も表れている。
このような処遇改善にもかかわらず、ソウル市の予算はむしろ削減されている。具体的に清掃部門の状況を見ると、業務委託の際の1,072億ウォン(人件費657億ウォン+経費415億ウォン)から直接雇用の際の1,019億ウォン(人件費765億ウォン+経費254億ウォン)へと、53億ウォン、5%ほど削減されている。主な要因は、業務委託に係る管理経費(委託先企業の利益部分)が大幅に削減されたためであった。また、業務委託を直営に戻すことにより、委託業者に追加的に支払っていた10%分の付加価値税分が不要になったことも寄与した。
翻って日本はどうだろう。非正規労働者割合は4割である。地方公務員の3人に1人は非正規公務員である。いずれも韓国社会の状況を上回って、雇用は劣化している。
非正規の公務労働者に関しては、韓国では期間制法が適用なっていることから、何らかの救済措置があるといえよう。したがってソウル市では期間制法を使って、非正規労働者の直接雇用化・正規化を進めてきた。
労働法と公務員法の狭間で救済されない日本の非正規公務員
だが日本の非正規公務員は、労働法と公務員法の狭間のなかで、どちらの法からもその権利を保護するシステムから排除され、どちらからも救済されない。
そして、国・地方自治体の使用者は、民間事業者であれば当然に義務づけられている雇用改善上の義務を免れている。このような差別的な取り扱いが許容されるのは、非正規公務員も含め、公務員の勤務関係の法的性質は公法上のもので、民間の労働法制とは別の法体系にあり、その採用も雇用契約ではなく、使用者側の意思が優先する行政処分としての任用行為だと考えられているからである 。
今日、正規公務員の給与の4分の1から3分の1というワーキングプアレベルの非正規公務員が、地方自治体で働く職員の3人に1人という状況までに悪化した。
だが解決の道筋はすでに見えている。ソウル市の正規化事業に学ぶことである。
すなわち第1に、どのような中小企業の民間事業者でも義務付けられている処遇改善に向けた法的義務を、パート労働法や労働契約法に準じて地方公共団体の使用者にも義務付けることである。
そして第2に、異動限定型であれ職務限定型であれ、その内容はともかく、これまでの職務無定量な公務員とは異なる形の新たな公務員採用の類型<ジョブ型公務員(仮称)>を創設し、別途の定数管理を行うことで、有期雇用の非正規公務員を無期雇用に転換し、正規化を進めることなのである。
非正規公務員の正規化は男女平等社会の実現に資する、逆に非正規公務員を官製ワーキングプアのまま放置してきたがゆえに、ジャンダーギャップが大きい、男女不平等社会になってしまったということを最後に指摘し、本連載を閉じることとする。
実は、国際労働機関(ILO)は、2015年6月に開催された104会期において、ILO100号条約(同一価値の労働についての男女労働者に対する同一報酬に関する条約、1951年採択、日本政府は1967年批准)の日本における適用状況について、とりわけ、地方の非正規公務員の状況について、概要、次のような内容の条約勧告適用専門家委員会報告を承認し、あわせて日本政府に対し追加情報を求めている。
・条約勧告適用専門家委員会は、2012 年 4 月 1 日現在、地方自治体には総計603,582人の臨時・非常勤職員が勤務し、その74.2%が女性であり、その職種は、高度に性別分離に基づいているとの、日本国政府によって提供された詳細な統計情報に留意する。
・日本国政府によると、2009 年 4 月 24 日、地方自治体に対し、臨時・非常勤職員の取り扱いに関する制度を説明する文書を通知し、その結果、適正化されたという。政府は、この点でより詳細な情報を提供するとしている。
・連合は、そのような労働者の不安定な状況を強調し、39.6%は任期1年未満の雇用であり、31.7%は3年以上の継続勤務、17.8 %は5年以上の継続勤務であることを指摘している。また地方自治法及び地方公務員法には、公共部門の臨時・非常勤職員についての規定がなく、そのステータスも明白ではない。正規労働者と同様の仕事に従事しているにもかかわらず、通勤手当は支給されず、定期健康診断、忌引休暇も取得できないと指摘している。
・条約勧告適用専門家委員会は、日本国政府に対し、地方自治体の非正規職員と正規雇用の公務員の給与とを比較して、同一価値労働を行う職員が、雇用形態に関係なく、同一の報酬を受け取ることをどのように確保するのか、その方法を示すことを要求する。また都道府県や市町村レベルにおける臨時・非常勤職員数に関する性別の詳細な情報の提供を継続することを求める。
男女の賃金格差は、雇用形態の差異を装った間接差別だ
連載[10]で指摘したように、2017年の欺瞞の地公法等改正による措置が、ILO条約勧告適用専門家委員会の求めを充足していないことは明らかだ。同委員会は、地方自治体の非正規公務員と正規雇用の公務員の給与とを比較して、「同一価値労働を行う職員が、雇用形態に関係なく、同一の報酬を受け取ることをどのように確保するのか」の方法を示すことを要求しているのである。
同一価値労働同一賃金とは、職種に関わらず、知識・技能、責任、負担、労働環境の4ファクターに基づき、同じ質・量の同じ価値の仕事をしていれば、その仕事の価値に応じた賃金を支払われるべきことをいう。だが、日本における正規・非正規間の賃金差別の状況は、仕事の価値に関わりなく、勤務時間の長短や雇用期間の有無によってもたらされる。したがって2017年の欺瞞の地公法等改正の内容は、日本政府が批准しているILO100号条約の同一価値労働同一賃金原則を無視し、むしろそれに逆行し、勤務形態の差異による処遇格差を是認する。
643,131人の地方の非正規公務員の4人中3人に該当する481,596人は女性である。その女性非正規公務員は、男性がその過半を占める正規公務員の年収の4分の1から3分の1程度の水準の賃金しか支払われていない。このような賃金格差は、雇用形態の差異を装った間接差別である(注1) 。
注1 日本の地方公務員における間接差別の状況については、Yoji Kanbayashi‘The situation of non-regular public employees in Japan: focus on Gender ‘, “Sectoral Policies Department Working Paper No. 305”, International Labour Office,Geneva, 2015.
公務員における間接差別の放置は、さらに、別のマイナス効果をもたらす。「女性活躍方針」に逆行するのである。なぜなら、男女平等を推進する上で公共部門における雇用の果たす役割は決定的だからである。
『市民を雇わない国家』を著した前田健太郎氏は、次のように指摘する。
「例えば、スウェーデンの場合には労働力不足が深刻化した戦後の高度成長期に労働組合が移民労働者の受け入れを拒絶した結果、民間部門における女性の雇用が拡大し、1980年代初頭にかけて公共部門の拡大と一層の女性の社会進出がもたらされた。このメカニズムを通じて、元来は女性の社会的地位が特に高くなかったスウェーデンは、現在では世界で最も男女が平等な社会として知られるようになった」(注2) 。
注2 前田健太郎『市民を雇わない国家~日本が公務員の少ない国へと至った道』東京大学出版会、2014年、262頁。
日本は正規で女性を雇わない国
実際、被雇用者数における公務員数の割合(①)ならびに公務員における女性割合(②)と、国別男女平等ランキングには、一定の相関関係がありそうなのである。すなわち、男女平等ランキング上位を占める国は、相対的に公務員割合と女性公務員比率が高い(ノルウェー:①33.4%②66.7%、スウェーデン:①25.8%②71.8%、ニュージーランド:①11.6%②57.6%、デンマーク:①32.2%②67.7%)。一方で、男女平等ランキングが、2013年段階で、世界105位の日本は①7.6%②41.9%でいずれも低い。日本は「市民を雇わない国家」であるばかりか、少ない正規公務員の過半が男性で、公務においては女性の活躍の場が極端に狭められた「女性を正規で雇わない国家」なのである。
日本では、これに加え、絶望的な格差状況にある非正規公務員の4分の3が女性である。
前田健太郎氏は、先の引用文に続け、次のように記す。「日本では公務員数が増えにくい構造が存在する以上、今後も北欧諸国のような形で女性の社会進出が進む可能性は低い」「今後の少子化対策の進展によって、これまで女性が家庭の内部で行っていた家事・介護・育児などを代替する社会福祉サービスの供給を国家が何らかの形で支援するとしても、それらのサービスは正規の公務員によって直接供給されるのではなく、より不安定で労働組合の組織率の低い雇用形態を通じて間接的に供給されることになるだろう」「不安定な形態で女性が多く雇用されたとしても、それが北欧諸国のように女性の政治参加と社会的平等を促進するフィードバック効果を生むとは考えにくい」(注3) 。
注3 前田前掲注2、262-3頁。
日本は、公務員数を減らした結果、保育や介護などの公的ケア・サービスの供給が不足し、これが女性を家庭に縛りつける原因となって、女性の労働参加を妨げ、社会進出の阻害要因となるという悪循環を繰り返してきた。
非正規公務員問題を通じて見えてくるものは、この国の姿なのである。
この状況を打開するために、「小さな政府」を追求する政策を転換し、男女平等社会の実現に資する公共部門の雇用の果たす役割を再評価し、非正規公務員問題を解決していく必要に迫られているのではないだろうか。
(終わり)
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