この時代を正当に再評価する必要がある
2017年11月21日
アメリカのジャパノロジスト、スーザン・B・ハンレーが「江戸時代の遺産」(指昭博訳・中央公論社・1990年)を書いたのはもう今から30年近く前のことだ。そして彼女はこの時代の庶民生活が豊かだったことを指摘し、「19世紀に生きたならば、金持ならイギリス、労働者ならば日本に住みたい」と述べている。
たしかに、江戸時代の庶民はかなり豊かだったし、また、文化文政時代(1804~1830年)やその前後には庶民文化の花が開いたのだった。
黄表紙の恋川春町・山東京伝、「東海道中膝栗毛」の十返舎一九、読本の上田秋成(「雨月物語」の作者)、「南総里見八犬伝」の曲亭(滝沢)馬琴、和歌の良寛、俳諧の与謝野蕪村らが活躍した時代だ。
国学や蘭学では本居宣長や杉田玄白、浮世絵の喜多川歌麿・葛飾北斎、文人画の池大雅・谷文晁、日本画の円山応挙とまさに多士済々だった。歌舞伎も4代目鶴屋南北が脚本を書き、7代目市川団十郎・3代目尾上菊五郎が活躍した時代でもある。相撲が隆盛を極めたのもこの時代。雷電為右衛門が活躍し、江戸相撲は大いに盛り上がっていた。
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