中国が真に「世界の公共財」構築を目指すなら、日本の批判に耳を傾けるべきだ
2018年01月16日
中国主導でアジア、中東、欧州に及ぶ経済圏づくりを目指す「シルクロード経済圏構想(一帯一路)」に対し、動きが鈍かった日本国内でもようやく積極関与の動きが出てきた。リベラル派知識人による「一帯一路日本研究センター」の設立だ。その狙いは何だろうか。
設立の中心になったのは、筑波大学名誉教授の進藤榮一氏。もともと米国外交の研究が専門だが、中国を含めたアジア共同体構築の可能性を探求し続け、現在は「国際アジア共同体学会」の会長や、アジアの人材育成と研究交流を進める「アジア連合大学院(GAIA)機構」の理事長を務める。
進藤氏は現在の世界情勢について、「パックスアメリカーナが終焉(しゅうえん)を迎え、新たに展開するアジアの世紀において一帯一路構想が主軸になり得る」と読み、それに対する日本の対応が遅いことを憂慮してきた。そこで、学術レベルで同構想の動向分析を進め、日本の関わり方を提言するため、研究センターを設立し、自ら代表に就いた。
2017年11月30日に東京で発足した研究センターの最高顧問には、中国に多くの人脈を持つ福田康夫・元首相が就任し、谷口誠・元国連大使、西原春夫・元早大総長らが顧問に就いた。副代表には河合正弘・東大教授、朽木昭文・日大教授、郭洋春・立教大次期総長、朱建栄・東洋学園大教授のような韓国人、中国人学者も名を連ねる。事務局はGAIA機構に置き、周瑋生・立命館大教授が事務局長を務める。
センター発足を宣言したのは、「日中国交正常化45周年記念国際シンポジウム」でのことだ。出席した程永華・駐日中国大使は、「一帯一路は日中協力の新たなプラットフォームにすべきだ。日本は最初、警戒的だったが、最近はプラスの目で見てくれる。両国の企業が組んでベトナムや中東で太陽光発電などの建設協力に動いている例もある」と述べ、日本の前向き姿勢への転換を評価した。福田元首相も「日中が互恵協力を進める時が来た」とエールを送った。
研究センター設立の一番の背景には、一帯一路構想の広がる経済圏が日本の未来にとって巨大な潜在性を有している、との判断がある。
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