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次期日本銀行総裁は誰に?

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

4月に任期を迎える黒田総裁

記者会見する日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁 記者会見する日本銀行の黒田東彦(はるひこ)総裁

 黒田東彦日本銀行総裁は2018年4月に任期を迎える。

 前総裁の白川方明は2013年3月19日に辞任し、黒田が3月20日に総裁に就任している。第2次世界大戦後、一萬田尚登総裁が8年強(1946年6月~1954年12月)、山際正道総裁が同じく8年強(1956年11月~1964年12月)務めているが、その後は(1964年以降)1期5年以内で交代している。

 前総裁白川方明は2008年4月9日に就任し、5年後の2013年3月19日に交代している。また、民主党政権下(2009~2012年)で財務省出身の候補が国会で承認されなかったため、日銀出身の総裁が3代続いたことはあったが(1998~2003年に速水優総裁、2003~2008年福井俊彦総裁、2008~2013年白川方明総裁)、通常は財務省(旧大蔵省)出身者と日銀出身者が交代で総裁を務めていた。

 23代総裁(1974~79年)森永貞一郎総裁は元大蔵省事務次官、24代総裁(1979~84年)前川春雄総裁は日銀出身、25代総裁(1984~89年)澄田智は元大蔵省事務次官、26代総裁(1989~94年)三重野康は日銀出身、27代総裁(1994~99年)松下康雄は元大蔵省事務次官だ。

 松下の後任は日銀出身の速水優(1998~2003年)、従来通りならば2003年には財務省から総裁が出るはずだったが、財務省は1998年、スキャンダルに巻き込まれ、大量の処分(112人を処分)を出し、従来通り、事務次官を日銀に送り込むことも難しくなったのだった。こうした状況で速水優の後も福井俊彦(2003~2008年)、白川方明(2008~2013年)と3代続けて日銀出身者が総裁に就任することになったのだった。

 2013年、黒田東彦が総裁に任命されたが、これは従来の慣例から若干はずれたもの。黒田の財務省での最終ポストは財務官。それまでは事務次官経験者が総裁に就任しており、財務官経験者の総裁就任は始めてだった。財務省は元事務次官の武藤敏郎を推したといわれているが、黒田と親しかった安倍首相が武藤ではなく黒田を任命したといわれている。安倍首相が官房副長官だった時(2000年7月~2003年9月)黒田も内閣官房参与として、短期間だが官邸に在職していて(2003年3月~7月)そこで2人は知り合ったのだった。安倍総裁は、自らよく知っている黒田を選んだということだった。

黒田総裁の再任を予測する声

 黒田総裁の任期は2018年4月。このところは、総裁は1期5年で交代しているが、黒田総裁の再任を予測する声が市場では高まってきている。黒田総裁を任命したのは安倍晋三総理。2018年に安倍再選の可能性が高まる中で、黒田総裁も再任ということになるというのだ。

 ブルームバーグ等の民間調査等では黒田再任の可能性が最も高いとされている。日銀からということになると、現副総裁の中曽宏か現理事の雨宮正佳ということになるが、雨宮はミスター日銀とも評される日銀のエース。雨宮の就任を予想する向きも少なくない。

 安倍晋三総理と個人的に親しい本田悦郎現スイス大使を次期総裁候補とする見方もあるが、本田の就任には財務省や日本銀行が難色を示す可能性もあるのではないだろうか。

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