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仮想通貨は典型的なバブルだ!

ピットコインは創出者の思惑を超えて、インターネット空間で肥大を続けるモンスター

吉松崇 経済金融アナリスト

仮想通貨ブームの到来?

コインチェック社のオフィスが入るビル=東京都渋谷区拡大コインチェック社のオフィスが入るビル=東京都渋谷区

 ビットコインに代表される仮想通貨の価格が乱高下している。1年前に1ビットコイン=10万円だった価格が、昨年12月には230万円を超える大暴騰となり、それが今年に入ると一転大暴落して、1月末には100万円を割り込んだ。それでも現在の価格は1年前のおよそ10倍なのだから、仮想通貨が1大ブームであることは確かだ。

 一方、1月26日には仮想通貨取引所、コインチェック社のITシステムがサイバー攻撃を受け、580億円相当の仮想通貨、NEM(ネム)が盗まれるという「事件」が起きた。被害者は26万人に上るという。これは、コインチェック社のサイバー・セキュリティー対策が脆弱(ぜいじゃく)だったことに起因する窃盗事件で、まるで4年前の「マウントゴックス事件」にそっくりである。

 (「マウントゴックス事件」については、4年前の拙稿、マウントゴックスの経営破綻とビットコインの信頼性は全く無関係だ!(2014年3月10日、WEBRONZA)を参照頂きたい。なお、この事件は、その後、外部のハッカーによる犯行ではなく、同社社長のマーク・カルプレスによる横領事件だったことが判明している)

 だが、さらに驚かされたのは、28日、仮想通貨を盗まれたコインチェック社が「被害額を現金で補償する」と表明したことだ。コインチェック社は2012年創業の未公開会社で資本金はわずか9600万円に過ぎない。普通に考えれば、500億円を超える現金を工面できるはずがないが、資本金を仮想通貨で運用していればどうだろう。

 先ほど、ビットコインの価格がこの1年で10倍になったと書いたが、この会社の創業時点(2012年8月)のビットコインの価格はおよそ800円なので、6年間で1250倍となっている。そう考えると、500億円を工面することが不可能とも言い切れないのだ。いずれにせよ、金融庁が検査に入ったので、そのうちこの会社の実情が明らかになるだろう。

 仮想通貨の価格の動きを見ると、2000年前後のITバブルが思い起こされる。現在の価格形成はバブルなのか?それとも仮想通貨の本源的な価値を表しているのか? この問題を考えてみたい。

仮想通貨の仕組みとは

巨額流出について金融庁に報告後、記者団の取材に応じたコインチェックの大塚雄介取締役=1月28日、東京・霞が関 拡大巨額流出について金融庁に報告後、記者団の取材に応じたコインチェックの大塚雄介取締役=1月28日、東京・霞が関

 そのためには、まず、仮想通貨の仕組みを知る必要がある。ここでは、代表的は仮想通貨であるビットコインを取り上げる。現在、仮想通貨は1000種類以上が発行されているといわれるが、その仕組みは基本的にビットコインと同じである。

 ビットコインは、サトシ・ナカモトなる人物により2009年に発明・創出された。約10年前の出来事である。ナカモト氏は論文、〝Bitcoin: A Peer-to-Peer Electronic Cash System〟 の中で、「ビットコインは信頼・信用に基づかない通貨、決済手段である」と述べている。

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筆者

吉松崇

吉松崇(よしまつ・たかし) 経済金融アナリスト

1951年生まれ。1974年東京大学教養学部卒業。1979年シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、リーマン・ブラザース等にて30年以上にわたり企業金融と資本市場業務に従事。10年間の在米勤務(ニューヨーク)を経験。2011年より、経済・金融の分野で執筆活動を行う。著書:『大格差社会アメリカの資本主義』(日経プレミアシリーズ、2015年)。共著:『アベノミクスは進化する』(中央経済社、2017年)。

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