アメリカの金融政策が緩和から引締めへ。株価は低落。1㌦=100円を切る可能性も
2018年04月06日
2017年下半期あたりから、世界経済が重要な曲り角に立つようになった。
2010年前後から7年程、先進各国は金融緩和によって積極的な景気回復策をとってきた。2008~09年のいわゆるリーマン・ショックで世界の主要先進国は軒並みマイナス成長に陥ったからである。たとえば2009年、アメリカはマイナス2.78%、イギリスはマイナス4.33%、ドイツはマイナス5.56%、フランスはマイナス2.94%、日本はマイナス5.42%と急激な景気後退に見舞われている。
先進各国は、主として金融緩和を積極的に進めることで景気刺激を行った。アメリカは2009年に第1次量的緩和(QE1)、2010年に第2次量的緩和(QE2)、2012年に第3次量的緩和(QE3)を行った。日本では2013年3月に黒田東彦アジア開発銀行総裁(元財務省財務官)が日本銀行総裁に就任し、「異次元金融緩和」と呼ばれたアグレッシブな金融緩和を実施する。欧州中央銀行(ECB)も2015年1月には金融緩和に踏み切っている。
こうした積極的金融緩和政策の結果、世界経済は順調に回復し、2010年からは世界全体で3~5%の成長率を達成していった。2017年は3.7%、2018年は3.9%の成長が見込まれている(2018年1月のIMF「世界経済見通し」WEOによる)。
この間、株価も継続的に上昇し、2009年に1万428US㌦だったニューヨーク・ダウ平均は2018年1月末には2万6149US㌦まで上昇した。日経平均も2009年の1万546円から大きく値を上げ、2018年1月末には倍以上の2万3098円に達している。
世界的な金融緩和政策で、経済成長率も株価も継続的に上昇する状況のなか、2016年に大幅に下落した石油価格などの資源価格も上昇に転じた。その結果、2016年にはマイナス成長だったロシア、ブラジルなどの資源輸出国もプラス成長に転じた。ロシア、ブラジル、中国、インドなどの新興市場国や途上国の成長率は2016年には4.4%まで下ったが、2017年には4.7%、2018年には4.9%にまで上昇すると予測されている。(2018年1月のIMFのWEOによる)
しかし2017年末から、アメリカの金融政策は緩和から引締めに転じることになった。具体的には、2017年12月に0.25%の利上げ、2018年3月には再び0.25%の利上げが行われたのだ。
市場は、2018年に3回程度の利上げが行われると予測している。
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