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AIに賃金を奪われる女性たち

大リストラが迫る。雇用を失う人々の再教育システム構築を急げ

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 仕事を失った中スキル(ルーティン業務)の人たちは、主に低スキルの雇用へ移行していることも分かってきた。高スキルではなく低スキルに多く移行する理由は何だろうか。

 高スキルは産業界の需要が増えているが、大学や大学院での専門教育を必要とするために習熟に時間がかかる。中スキルの人が転職にあたって急に高スキルを獲得することは困難である。

拡大極限まで省力化された電子機器の生産ライン=オムロン草津工場のHPより
 一方、低スキルの仕事は順次機械に代替されているが、そのペースは遅い。もともと低コストの仕事であり、積極的に機械化を進める理由が乏しい。人手を要する仕事がまだ多く残り、高スキルを諦めた中スキルの人が低スキルに流れ込みやすい。

  スキル別の賃金はどう動くのだろうか。高スキルは、専門人材の供給が短時日では増えないので賃金が上昇しやすい。一方、低スキルは高度な教育が不要であり、中スキルからの流入組も多いので、賃金は抑制される。すなわち、高スキルと低スキルの賃金格差は拡大する傾向にある。

 こうした雇用の二極化は、今後のAIの拡大によって更に拍車がかかると見られる。格差が固定化することは、世代を超えた貧困の連鎖を生み社会を不安定にするので、望ましいことではない。

「非正規・女性」が雇用減の影響を最も受ける

 日本の雇用者総数は5460万人(2017年)である。そのうち37%の2036万人が非正規雇用であり、その68%を女性が占める。すなわち日本の全雇用者の25%(1390万人)が非正規雇用の女性ということになる。

 非正規雇用の女性は、企業の事務所や工場などで働く中スキル(ルーティン業務)の人々が多い。この人たちがAIの拡大で職を失うと、労働市場で賃金格差とジェンダー問題の両方に直面することになる。

 実際、「AI化に伴う雇用削減は男性より女性のほうが深刻な状況になる」という欧米の研究報告がいくつも出ている。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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