巨大バブル崩壊の足音
いま世界発の経済危機が起きたら、日銀には何の方策もない
原真人 朝日新聞 編集委員
過去のバブルをみるかぎり、それを膨張させ、崩壊のショックをより大きくしたのは、中央銀行による過度な金融緩和政策だった。
米国がその典型だ。ITバブル崩壊のあと、超金融緩和で住宅バブルをあおったFRB(米連邦準備制度理事会)のグリーンスパン議長は、株価が下落するようなリスクがあれば、すぐに金融緩和の助け舟を出し、下落を防いだ。これは下落リスクが限定される金融裁定取引(プット・オプション)に似ていることから、「グリーンスパン・プット」と呼ばれた。これが投資家たちの強気の投資意欲にますます火を付け、あおったわけだ。
リーマン・ショック後のFRBの政策も同じような経過をたどった。ショックから立ち直らせるために超金融緩和を長期に続け、市場では当局が買い支え役となった。これを当時のバーナンキ議長や後任のイエレン議長からとって、「バーナンキ・プット」「イエレン・プット」と呼ばれた。
日銀だけ「のりしろ」がない
今の日本では日銀の黒田東彦総裁の「クロダ・プット」が進行中だ。
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