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巨大バブル崩壊の足音

いま世界発の経済危機が起きたら、日銀には何の方策もない

原真人 朝日新聞 編集委員

 過去のバブルをみるかぎり、それを膨張させ、崩壊のショックをより大きくしたのは、中央銀行による過度な金融緩和政策だった。

 米国がその典型だ。ITバブル崩壊のあと、超金融緩和で住宅バブルをあおったFRB(米連邦準備制度理事会)のグリーンスパン議長は、株価が下落するようなリスクがあれば、すぐに金融緩和の助け舟を出し、下落を防いだ。これは下落リスクが限定される金融裁定取引(プット・オプション)に似ていることから、「グリーンスパン・プット」と呼ばれた。これが投資家たちの強気の投資意欲にますます火を付け、あおったわけだ。

 リーマン・ショック後のFRBの政策も同じような経過をたどった。ショックから立ち直らせるために超金融緩和を長期に続け、市場では当局が買い支え役となった。これを当時のバーナンキ議長や後任のイエレン議長からとって、「バーナンキ・プット」「イエレン・プット」と呼ばれた。

日銀だけ「のりしろ」がない

 今の日本では日銀の黒田東彦総裁の「クロダ・プット」が進行中だ。

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筆者

原真人

原真人(はら・まこと) 朝日新聞 編集委員

1988年に朝日新聞社に入社。経済部デスク、論説委員、書評委員、朝刊の当番編集長などを経て、現在は経済分野を担当する編集委員。コラム「多事奏論」を執筆中。著書に『日本銀行「失敗の本質」』(小学館新書)、『日本「一発屋」論 バブル・成長信仰・アベノミクス』(朝日新書)、『経済ニュースの裏読み深読み』(朝日新聞出版)。共著に『失われた〈20年〉』(岩波書店)、「不安大国ニッポン」(朝日新聞出版)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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