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調査報道ベンチャーをつくる

オンラインメディアの先駆者が講談社を飛び出した。次に挑むのは調査報道の支援だ

WEBRONZA編集部

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 今から8年前、僕はオンラインメディア「現代ビジネス」を立ち上げ、編集長になりました。ちょうど「月刊現代」「諸君」「論座」といった月刊総合誌が次々と廃刊・休刊になった時期でした。

 長い間、月刊誌こそが新しい書き手を発掘し、調査報道を支える舞台、土台でした。月刊誌の相次ぐ撤退に、そういう舞台がなくなってしまうという危機感を抱き、「紙」で難しければ、「ネット」で新たな舞台をつくろうというのが、「現代ビジネス」立ち上げの動機でした。新しい書き手の発掘や調査報道をネットの世界で引き受けようと考えたのです。

 ネットサイトで大切なのは、何で勝負するかを明確にすることです。「現代ビジネス」の場合、何を強みにするか。そこで生きたのが、記者や副編集長として長年、かかわってきた週刊誌や月刊誌での経験でした。

 たとえば「週刊現代」は、工程の関係から校了してから発売日までどうしても3日あいてしまう。裏を返せば、その3日の間に古くならない情報を載せないといけないのです。そうした「制約」が逆に取材力や企画力を磨くことにつながりました。「現代ビジネス」ではそこで培われた企画力を前面に出し、速報性では勝負しない、ニュースでは勝負しない、ということにしました。

 それから8年たち、「現代ビジネス」はその役割を果たしていると思います。書き手にはきちんとした原稿料を支払い、支えることができている。現代ビジネスに載った記事をもとに書籍もできています。後輩の編集長たちをはじめスタッフが「ネットの中に書き手を育てる空間をつくる」という熱意で取り組んできた結果です。

 今後、新聞社や出版社という会社やメディアの枠組みを超え、書き手を育て支える仕組みをさらに広げていければと思っています。

「古い井戸」の横に「大河」が流れている

 ネットにより、ジャーナリズムの世界は過当競争になっていると言われますが、僕はそうは思っていません。たしかに速報を競うニュースはそうかもしれませんが、企業がネット空間であらゆるものをメディア化している今は、むしろコンテンツをつくる仕事の領域は広がっています。

 従来型のメディアを古い井戸とすると、これまでジャーナリズムという畑を育ててきた、その井戸の水は枯れかかっています。しかし井戸の横には実は大きな川が流れている。あらゆる企業がデジタル化、メディア化しているので、その水をうまく使えばいい。枯れかけの井戸の水をくまなくても、もっと大きい川の水をジャーナリズムという畑に導くことができれば、今まで以上にチャンスが広がる。問題はそれができるかどうかです。

 ネット媒体では、読者からお金をもらう「課金モデル」と、企業からお金をもらう「広告モデル」のどちらが良いかという議論がありますが、正解はないと考えています。大切なのは、その組み合わせでしょう。

 そして、それ以上に大事なのはビジョンです。ネットサイトとして何を目的にするのか。そもそも何をやりたいのか。ページビューを増やすことなのか、有料会員を増やすことか、書き手を育てることか、書籍化につなげて本を売り上げることなのか。

 目的をはっきりさせないまま、他の媒体と競うことばかりをしていても不毛です。まず、何を目指すかを明確にしなくてはいけません。そして、それは読者に対して、どんな価値を提供できるかということでもあります。

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