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社会保障適正化には「資産」要件の加味が必要だ

所得基準だけでは高齢者の経済状況は捉えられない

森信茂樹 東京財団政策研究所研究主幹・中央大学法科大学院特任教授

 しかし、本年6月に公表された「経済財政運営と改革の基本方針2018」(骨太2018)には、「負担能力に応じた公平な負担、給付の適正化、自助と共助の役割分担の再構築」という項目の中、以下のような記述になっている。

 高齢化や現役世代の急減という人口構造の変動の中でも、国民皆保険を持続可能な制度としていく必要がある。・・・高齢者医療制度や介護制度において、所得のみならず資産の保有状況を適切に評価しつつ、「能力」に応じた負担を求めることを検討する。(太字、筆者)

 つまり、この3年間に「資産」を要件としていくという検討は、大きく後退したのである。その理由は、2015年には記述されていたが本年には落ちた「マイナンバーを活用」という点にある。

遅れる預貯金口座への付番

 マイナンバーは、2016年1月から稼働しているが、預貯金口座への付番(以下、預金付番)が始まったのは2018年からである。銀行に対する国税・地方税の税務調査や、

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筆者

森信茂樹

森信茂樹(もりのぶ・しげき) 東京財団政策研究所研究主幹・中央大学法科大学院特任教授

1950年生まれ、法学博士(租税法)。京都大学法学部を卒業後、大蔵省入省。1998年主税局総務課長、1999年大阪大学法学研究科教授、2003年東京税関長、2004年プリンストン大学で教鞭をとり、2005年財務総合政策研究所長、2006年財務省退官。この間東京大学法学政治学研究科客員教授、コロンビアロースクール客員研究員。06年から中央大学法科大学院教授、(一社)ジャパン・タックス・インスティチュート(japantax.jp)所長、東京財団上席研究員。10年から12年まで政府税制調査会専門家委員会特別委員。日本ペンクラブ会員。著書に、『税で日本はよみがえる』(日本経済新聞出版)、『未来を拓くマイナンバー』(中央経済社)『消費税、常識のウソ』(朝日新書)『日本の税制 何が問題か』(岩波書店)、『抜本的税制改革と消費税』(大蔵財務協会)、『給付つき税額控除』(共著、中央経済社)『どうなる?どうする!共通番号』(共著、日本経済新聞出版社)など。

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