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米メディアとプラットフォームの関係は「成熟化」

「GENサミット」報告(上)―「敵でもあり友人でもある両者」の未来は?

小林恭子 在英ジャーナリスト

 この現象を詳しく見る前に、まず、プラットフォームによってどれほど編集室の現場が変わったかに注目すると、調査に参加した編集室の41%が「ソーシャルメディア・プラットフォームが普及したために、ニュースの編集過程を大幅変更した」と答えている。「小幅変更」は42%で、これも入れるとほとんどの編集室で改変があったことになる。

 プラットフォームの脆弱性(例えばフェイクニュースの拡散)が指摘された後でも、編集室の半数がプラットフォームを編集過程に組み入れたことで「オーディエンスとの関係が強化された」、と一定の評価を下している。

 それでも、メディア側のプラットフォームに対する不信感は強い。86%が「ソーシャル・メディアはジャーナリズムに対する信頼感の下落をもたらした」と答えているからだ。

 「実際にそうだったかどうかは別問題。ジャーナリストの側はそう認識している、ということだ」(ベル氏)。

 また、76%がフェイスブックは「フェイクニュースや誤情報を撲滅するために十分な対策を取っていない」と見ている。ツイッターの場合はこれが71%、グーグルに対しては65%に下がる。

 プラットフォームから財政支援を求める声も高い。56%がジャーナリズムに財政支援をするべき、と見ている。

 プラットフォームに対する不信感は高いものの、利用率が低くなっているわけではない。

 しかし、ニュースメディアはインスタグラム、フェイスブックの「インスタント・アーティクルズ」(フェイスブックのアプリ上で記事すべてが読めるサービス)、アップルニュースの無料版など、プラットフォーム上ですべてが消費される形を避けるようになっている。代わりに、自社のウェブサイトに読者を呼び寄せる形での関わりに力を入れるようになっているという。これを報告書は「意識的な分離」と名付けた。

 ニュースメディアの規模によってプラットフォームの使い方は変わる。

 大手12社(CNN,フォックス・ニュース、ニューヨーク・タイムズ、ウォールストリート・ジャーナル、バズフィード、ハフィントンポストなど)は幅広い種類のプラットフォームに記事を出しているが、リソースが少ない小規模のニュースメディアは

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筆者

小林恭子

小林恭子(こばやし・ぎんこ) 在英ジャーナリスト

秋田県生まれ。1981年、成城大学文芸学部芸術学科卒業(映画専攻)。外資系金融機関勤務後、「デイリー・ヨミウリ」(現「ジャパン・ニューズ」)記者・編集者を経て、2002年に渡英。英国や欧州のメディア事情や政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。「新聞研究」(日本新聞協会)、「Galac」(放送批評懇談会)、「メディア展望』(新聞通信調査会)などにメディア評を連載。著書に『英国メディア史』(中央公論新社)、『日本人が知らないウィキリークス(新書)』(共著、洋泉社)、『フィナンシャル・タイムズの実力』(洋泉社)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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