メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

米中貿易戦争、トランプが設けた高すぎるハードル

関税引き上げの「脅し」は同盟国には効いても、中国には通用しない

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

拡大習近平国家主席=2017年10月25日、北京
 第一に、EUは自動車の関税を上げると言ったら譲歩してきたというものであり、実際にアメリカが自動車の関税を上げたわけではない。トランプとしては、関税の引き上げを「脅し」として使うだけで、何も譲らずに利益を得ただけだった(と支持者に説明できる)。

 しかし、中国とはやられたらやり返すという形で互いに関税の引き上げを行っており、全面的な貿易戦争に突入している。

 中国としては、アメリカの一方的な関税引き上げは明らかにWTO違反であり、中国が関税の引き上げを止めるならアメリカも関税を元に戻すべきだ、と主張するだろう。交渉の構図がEUの場合とは違うのである。

 トランプの頭の中にある通商交渉のモデルは、1980年代から90年代にかけての対日通商交渉だ。アメリカの安全保障の傘の下にある日本は通商交渉で徹底的にアメリカと戦うことはできなかった。アメリカの言うことを聞かざるを得なかったのである。現通商代表のライトハイザーも当時の対日通商交渉を経験した人物である。

 当初、トランプは中国がやり返してくるとは思っていなかったに違いない。対EUと同様、超大国のアメリカが関税を上げると脅すだけで中国は譲歩すると思っていたのだろう。大きな誤算である。 ・・・ログインして読む
(残り:約2058文字/本文:約3867文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


関連記事

筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

山下一仁の記事

もっと見る