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大塚家具、対立軸は「母娘」か

ひたすら籠城する娘はマクベス、娘に領地を譲って裏切られた父はリア王

大鹿靖明 朝日新聞経済部記者

拡大大塚久美子社長

身売り交渉を難航させる「プライド」

 大塚家具の経営が急速に悪化し、自主再建がおぼつかなくなってきた。経営権を人手に渡す「身売り」交渉を進めているものの、本稿公開時点では交渉は決着していない。

 3年前、創業者である父・大塚勝久会長(当時)を放逐し、実権を掌握した長女の久美子社長だが、この3年余の業績推移を見ると、経営能力に乏しかったと評するよりほかない。「できる女」「強い女」というイメージを振りまいてきた彼女は、そうであるがゆえに失敗や敗北を認めることができない。「私は社長を辞めない」というプライドと保身最優先の態度が、身売り交渉を難しくしている。

 2015年、列島に中継された親娘喧嘩は、娘の大塚久美子氏の圧勝に終わった。「守旧派」の親父vs「開明派」の娘の争いという構図が民放や経済メディアの報道によって定着し、株主総会で多数派工作を争う委任状獲得競争は、娘に軍配があがっている。

 あのとき、親と娘、姉と弟、男と女、そして相続問題といった本来の対立の要因は捨象され、論点はコーポレート・ガバナンスの問題に巧妙にすり替えられた。その演出に一役買ったのが、久美子氏が雇った広報コンサルティング会社メディアゲインの小川勝正社長だった。

 久美子氏へのインタビューを申し込むと、「朝日新聞は、これがガバナンスやコンプライアンスの問題であることがわかっているのか。わかっていない以上は、ちょっと退くよね」と小川氏。メディアゲインは、久美子氏を好意的にとらえるメディアに優先的に出演させたりインタビューを仲介したりした節がある。「小川さんのやり方は完璧にメディア選別。よろしくないよね」。メディアゲイン元社員のベテラン広報マンさえ、そう語っていた。

 そんな広報戦術によって装飾をほどこされたのが、大塚久美子氏ではなかったか。

父の忠臣たち去り、2期連続の赤字に

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筆者

大鹿靖明

大鹿靖明(おおしか・やすあき) 朝日新聞経済部記者

1965年、東京生まれ。早稲田大政治経済学部卒。88年、朝日新聞社入社。アエラ編集部などを経て現在、経済部記者。著書に第34回講談社ノンフィクション賞を受賞した『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』を始め、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』、『ヒルズ黙示録・最終章』、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』、『ジャーナリズムの現場から』がある。近著に『東芝の悲劇』。キング・クリムゾンに強い影響を受ける。

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