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スルガ銀行は「銀行」だったのか(上)

内部告発や審査部門を無視。過剰な保身体質。これは「銀行」と呼ぶに値しない

深沢道広 経済・金融ジャーナリスト

拡大スマートデイズが展開した女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」の建物の看板(画像を一部加工しています)

「優等生」の転落

 女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」向け不適切融資に端を発し、存亡の危機に立つスルガ銀行。同社から委任を受けて事実関係を調べてきた第三者委員会(委員長:中村直人弁護士=中村・角田・松本法律事務所)が7日、静岡県沼津市内で記者会見し、調査報告書を公表した。

 顧客のためではなく、不動産業者と一体となり、組織的に不正な融資が実行された実態や経緯が明らかにされた。2015年段階で相次いだ内部告発や審査部門の真っ当な指摘は黙殺され、誤った経営判断が繰り返された。

 歴史は繰り返す。銀行は不動産バブル期に不動産や株式購入のために巨額の資金を貸し付けていた。北海道拓殖銀行、関西の中堅地方銀行だった平和相互銀行、足利銀行等々。いずれも不動産向け不正融資で経営に影響を及ぼす不良債権を抱え、消えた銀行だ。

 「まるで不正のデパートだ」。こう言ったのは2004年に開業し、2010年に破綻した日本振興銀行の元捜査関係者。スルガ銀行でも前代未聞の実質無審査融資が長年続いていた。

 なぜ収益率の高い地銀の「優等生」と言われたスルガ銀行がここまで転落したのか。

過剰なまでに経営陣を擁護


筆者

深沢道広

深沢道広(ふかさわ・みちひろ) 経済・金融ジャーナリスト

1978年生まれ。慶応大学商学部卒業後、編集者として勤務。05年青学大院経営学研究科会計学専攻博士前期課程修了。格付投資情報センター(R&I)入社。R&I年金情報、日本経済新聞の記者として勤務。12年のAIJ投資顧問による2000億円の巨額年金詐欺事件に係る一連の報道に関与し、日経新聞社長賞を受賞。著書に『点検ガバナンス大改革―年金・機関投資家が問う、ニッポンの企業価値』(R&I編集部編共著、日本経済新聞出版社)などがある。17年7月退社。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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