2018年09月28日
このころから、訪日外国人の増加が目立つようになり、観光業を中心に「インバウンド特需」に沸くようになった。訪日需要が増えれば、それに応じるようにLCCも便数を増やすという好循環が、アジアのLCCが日本に攻勢を掛けている一因といえる。
9月4日の台風被害の影響で、インバウンド受け入れの中核を担う関西空港が一時閉鎖された。7日に国内線から一部再開し、21日からは旅客便の運航が通常スケジュールに戻った。
アジアのLCCが日本へ攻め込む上で、機材の進化も大きな役割を果たしている。これまでLCCが好む180席クラスの小型機は、片道4時間から5時間程度の航続距離が限界だった。しかし、燃費の良い新型エンジンを採用した次世代機では、片道6時間以上のフライトも可能になり、中大型機では需要が見込めない路線でも、まずは小型機で新路線をスタートさせることも可能になった。
旺盛な訪日需要に応じ、日本市場を攻めるアジアのLCC。一方の国内LCC勢はどのように対応していくのだろうか。
訪日客が増えている以外に、アジアのLCCが日本市場を攻める要因の一つが、オープンスカイだ。オープンスカイとは、二国間で就航する航空会社数や路線数、便数の制限を相互に撤廃するもので、日本は33カ国・地域と合意している。
二国間の旅客や貨物輸送だけではない。「首都圏空港」と国が呼ぶ羽田と成田を除き、第三国へ旅客や貨物を積んで運ぶ、いわゆる「以遠権」の存在が大きい。例えばアジア諸国を出発し、関西空港に到着後、日本からの旅客と貨物を乗せて北米に向かうというようなルートだ。オープンスカイは国ごとに合意内容が異なるが、以遠権が行使できるものであれば、日本を経由して北米に向かう便も開設できる。
例えばマレーシアのエアアジアXの場合はこうだ。日本とマレーシアは、2011年2月にオープンスカイに合意。2013年からは、首都圏空港以外の空港について、以遠権が自由化された。エアアジアXは2017年6月に、関西-ホノルル線を開設したが、週11往復運航しているクアラルンプールー関西線の一部を以遠権により延伸し、ホノルルへ週4往復乗り入れた。今年8月からは週3往復増便し、週7往復のデイリー運航になった。
エアアジアグループのトニー・フェルナンデスCEO(最高経営責任者)は、米国本土への就航を目標にしていると言われ、中部空港(セントレア)からは「ハワイへの路線を近い将来検討したい。機体を入手できれば、米国西海岸にも就航したい」(フェルナンデスCEO)と意欲を見せる。
つまり、アジアから近い観光地である日本に就航するだけではなく、北米への進出も視野に入ったものだ。
これは訪日需要が旺盛な、タイの航空会社には痛手だった。ICAOが2017年10月にSSCを解除するまで、タイ国籍の航空会社は就航している定期便やチャーター便については運航を継続できるものの、日本をはじめとするICAO加盟国への新規就航や、増便などのスケジュール変更、機材変更などができない状況になっていたからだ。
10月28日から、ノックスクートがバンコク(ドンムアン)-関西線を開設する。同社はタイのLCCノックエアと、シンガポール航空系LCCスクートが合弁で設立したLCCで、日本就航が遅れるという影響を受けた一社だ。彼らは、今年6月1日就航のバンコク-成田線から日本への乗り入れをスタートし、2路線目となる関西線をスタートさせる。
国内初のLCCとして、2012年3月に関空を拠点に就航したピーチ・アビエーションは、中距離LCC事業に参入する。ここで使用する機材が、
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