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人口減少をどう食い止めるか?

フランスのような国家支援をするには、消費税率の引き上げが必要になるだろう

榊原英資 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

拡大認可保育園に入れない待機児童の解消を進めるための改正子ども・子育て支援法が参院本会議で可決、成立し、議場に向かって頭を下げる松山政司少子化対策担当相(手前)=2018年3月30日
 日本の人口は2011年(1億2783万人)をピークに減少し続けている。2018年には1億2649万人とピーク時に比べ134万人の減少だ。日本の合計特殊出生率は1.44と2人以上子供を持つ家庭は次第に少なくなってきている。

 確かに、先進国では出生率が2.0以下の国が多いが、それでもアメリカとイギリスは1.80、オランダ1.66、カナダ1.60と日本よりは大きくなっている。日本より出生率が低い先進国はイタリアと香港、シンガポール、それに韓国。韓国は1.17と各国の中で最も低い。

フランスの手厚い支援

 こうした中で、フランスは1990年代半ばから出生率が上昇し、2006年には2.00、そしてその後もほぼ2.0前後で推移している(2016年は1.96)。その結果、フランスは人口が増加し続け、2018年には6510万人と1980年に比べ1136万人も増加しているのだ。これは1970年代からのフランスの家族政策の結果だといわれている。フランスでは出産・育児、そして教育について手厚い国の支援が行われているのだ。

 まず、第一子の出産の場合、6か月の育児休暇が認められ、その間は育児休業手当がもらえる。この育児休暇制度では、出産まで働いていた女性は、育休後にこれまで通りフルタイムで仕事に復帰するか、それとも80%あるいは50%のパートタイムで仕事をするか、仕事を休んでしばらく育児に専念するかを選べる。完全に仕事を休んだ場合の支援額が月500ユーロ(約6万4千円)とすると、半分だけ働いた場合は月400ユーロ、50~80%働いた場合は月300ユーロといった具合だ。第2子出産の場合には下の子が3才になるまで適用され、その間、休業したり仕事時間を減らす人に対しては、月約140ユーロ(約1万8千円)から最大552ユーロ(約7万1千円)まで手当が支援される。

 この家族手当で特徴的なことは、親の収入には一切関係なく、両親が働いていても働いていなくても、また外国籍であっても正式な滞在資格を持ってフランスに居住してさえいれば、すべての子供の養育費を一律に支援されるという点だ。

 また、年収500万円以下であれば、3才以上の子供がいる世帯には月額161ユーロが支給され、また同様の年収の人に対しては出産手当(子供の出席時に890ユーロ)が与えられている。

 こうした手厚い補助の結果、フランスで2人の子供を育てる平均的な家族は子供が成人するまでに総額3万9千ユーロ(500万円)を、5人の子供を育てた家庭は18万4千ユーロ(2357万円)をそれぞれ支援されるのだ。

 また、直接的な給付以外にも税金面の優遇もある。 ・・・ログインして読む
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筆者

榊原英資

榊原英資(さかきばら・えいすけ) 青山学院大学特別招聘教授、エコノミスト

1941年生まれ。東京大学経済学部卒、1965年に大蔵省に入省。ミシガン大学に留学し、経済学博士号取得。1994年に財政金融研究所所長、1995年に国際金融局長を経て1997年に財務官に就任。1999年に大蔵省退官、慶応義塾大学教授、早稲田大学教授を経て、2010年4月から青山学院大学教授。近著に「フレンチ・パラドックス」(文藝春秋社)、「ドル漂流」「龍馬伝説の虚実」(朝日新聞出版) 「世界同時不況がすでに始まっている!」(アスコム)、「『日本脳』改造講座」(祥伝社)など。

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