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「GPA重視」が採用改革の王道だ

企業の「青田買い」で大学を壊すな

小此木潔 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

学業尊重なら成績評価をもっと

 大学できちんと学んだ学生を採用したいなら、企業は採用選考にあたってGPAをもっと活用すべきである。GPAは、講義科目ごとにA、B、C、D、F(不合格)の5段階で成績評価をする場合、A=4、B=3、C=2、D=1、F=0と数値化して計算した平均値だ。欧米への留学の場合に学力総合判定の基礎資料として使われる。国内の大学院に進学する際の判定材料にもなる。

 科目ごとの成績評価は単に期末試験やレポートの出来栄えで決まるわけではない。大学や学部・学科、講義ごとに比重は少しずつ違うが、出席回数や授業での積極姿勢、「リアクション・ペーパー」(講義の感想など反応を書く)からわかる理解度などを教員が総合的に判断している。学生の勉強ぶりと成果を全体として評価する物差しとしてGPAは役に立つ総合指標である。

 ところが不思議なことに、企業による採用の現場では、成績表の中身は軽視されているようだ。多くの企業はGPAによる学業成績を採用判断の重要な指標とは考えていない。どちらかといえば、面接で質問に要領よく答える能力や、クラブ活動など学業以外の活動実績が「リーダーシップ」や「がんばり」といった観点から評価される傾向がある。まじめに勉強しても、面接で自分をうまく表現できなかった学生が損をする結果が見受けられる一方、ろくに授業に出なかった学生が要領よく教員に甘えてなんとか単位をもらい、有名企業に合格しているのを見かける。採用担当者はいったい何をもとに評価しているのだろうかと、残念な気持ちになることもしばしばだ。

 企業の採用担当部長らに判断基準を聞いたところ、「コミュニケーション能力や、志望の本気度を重視している」「説明会などでよく質問したりしてこちらが名前を覚えているような学生が有利」といった答えが返ってきた。

 こうした現状では、 ・・・ログインして読む
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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で記者をしてきた。近年は日本の経済政策や世界金融危機など取材。2009年5月から東京本社論説委員室勤務、11年4月からは編集委員も務め、14年4月から現職。著書に「財政構造改革」「消費税をどうするか」(いずれも岩波新書)、「デフレ論争のABC」(岩波ブックレット)。

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