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インド人が選ぶのは、日立か、メルカリか

メルカリはインド人を大量採用。日立はフィリピン人技能実習生を大量解雇

大鹿靖明 朝日新聞経済部記者

29カ国から約130人

 メルカリが10月1日、東京・六本木ヒルズの本社で開いた新入社員向け説明会は、海外進出に積極的な同社らしいコスモポリタンな雰囲気だった。

 中途社員を含めて約100人が入社。このうち、インド(32人)を始め、台湾、米国、中国、英国、ベルギー、カナダ、フランス、シンガポールから合計44人の外国人が新卒で入社した。説明会は取材に訪れたマスコミに公開された。

 囲み取材に応じたサヒル・リシさん(22)は「日本語は話せないが心配ない。(メルカリ社内に)メンターがいるから大丈夫」と語った。インド工科大カラグプル校でコンピューターサイエンスを専攻した彼は、メルカリが2017年にインドで開催したハッカソンで優勝し、すでにメルカリで機械学習分野のインターンとして働いてきた。

 メルカリは2013年の創業以来、外国人の採用に熱心に取り組んできた。

「いずれ世界中にスマホが行き渡る。そのときに世界中の誰もが不要品を売買できる場を持てれば、いまよりももっとモノを捨てないようになり、それによって資源を大切にすることができると思ったんです。だから何十年かけてでも全世界でやっていきたい。最終的にはすべての国につくるぞ、と」

 山田氏はそんな理念を語る。すでに日本で働く750人の1割強の80人余が外国人。これに今回の新卒などが加わって、現在は29カ国から約130人の外国人が働いている。

 特筆すべきなのは、外国人採用にかける情熱と、採用後のきめ細かい面倒見の良さである。

拡大メルカリ創業者の山田進太郎さん。世界旅行でインドに足をのばし、ガンジス川を背に=2012年9月28日、インド・バラナシ(山田進太郎さん提供)

インド工科大でプロモーション

 メルカリは、IT大国でもあるインドの若い才能を発掘しようと昨年12月、インド工科大の新卒採用選考会に初めて参加した。同大はコンピューターサイエンスの分野では名門大として知られ、グーグルやフェイスブックなど米国のITジャイアンツが優秀な学生を大量採用している。

 同大で12月1日~10日に行われた選考会は、過去の採用実績や知名度、給与など待遇面を勘案して、同大就職課が企業の採用面接の順番を決める。初日の12月1日の午前中なら優秀な学生を採用しやすいが、後の日取りになればなるほど、上位企業の選考から漏れた学生ばかりになっていくわけだ。

 当然、インドで知名度のないメルカリには不利に働く。だからこそ選考会前の昨年10月、インドの地でメルカリ主催のハッカソンを開催し、優秀者には日本に招待するなど手厚いプロモーションを展開した。

 「とにかく日本にきてもらって、メルカリを見てもらおうと。それで帰国したらインド工科大に広めてもらうブランディングをやったんです」と石黒卓弥HRグループマネージャーは言う。

 そんな努力が奏功したのか、同大の新卒29人を採用することができた。報酬は「1000万円までは出していない。非公開です。各自バラバラで」(石黒氏)というが、日本人社員と同じ評価基準というから同社の平均報酬の500万円以上はあるのだろう。

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筆者

大鹿靖明

大鹿靖明(おおしか・やすあき) 朝日新聞経済部記者

1965年、東京生まれ。早稲田大政治経済学部卒。88年、朝日新聞社入社。アエラ編集部などを経て現在、経済部記者。著書に第34回講談社ノンフィクション賞を受賞した『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』を始め、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』、『ヒルズ黙示録・最終章』、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』、『ジャーナリズムの現場から』がある。近著に『東芝の悲劇』。キング・クリムゾンに強い影響を受ける。

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