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個人のタブレットを持たせて通学させる時代が来る

生徒一人一人が個人所有のタブレットを使って授業をする波は公立校にも押し寄せる

岩崎賢一 朝日新聞社 メディアデザインセンター エディター兼プランナー

 

拡大タブレットが学校で「文房具」として普及し始めた

 中学校や高校でタブレットが「文房具」になりつつある。生徒一人一人が個人で所有するタブレットやスマートフォンを通常の授業で使う学校が出始めた。私立学校が目立つものの、公立学校でも広がりつつある。東京都も個人所有のICT(情報通信技術)機器の活用を目指し、都立高校の通信環境の整備に乗り出した。学校でのICT活用は進むのか、現場を歩いて考えてみた。

公立高校にも押し寄せる波

 10月2日、神奈川県横須賀市にある県立横須賀高校で開かれた公開授業には、多くの教育関係者が訪れた。「サイエンスルーム」で行われる高校1年の数学の授業をのぞくと、机の上に生徒個人が所有するスマホが置かれていた。

 教師が配ったプリントに書かれたこの日のテーマは「三角比」。隣の席の生徒とペアになって解いていく。解答とペアの名前を書き込んだプリントをスマホで撮影し、教師に送る。教師は提出された解答をスクリーンに映し出し、生徒に説明を求めていく。次は、教師がタブレットに蓄積された質問を指一つで操作し、生徒全員に配布する。同じようにペアで解き、写真を返送する。

 こうした授業を可能にしたのは、同校が採り入れている「ロイロノート・スクール」というアプリだ。教師と生徒はログインして、専用のクラウドに蓄積された情報を共有し、コミュニケーションを取っていく。印刷による配布物が大きく減り、英語の単語テストは生徒がスマホでログインすればいつどこでもできる。部活動などでの情報共有も簡単だ。

 横須賀高校は2016年、文部科学省からスーパーサイエンスハイスクール(SSH)に指定された。SSHは、科学技術系の人材育成のために、各校が独自カリキュラムで授業をしたり、大学や研究機関などと連携したりして、課題研究などに積極的に取り組む。

 市内にある研究機関や大学、企業などの協力を得て、第一線で活躍する研究者から直接指導を受けながら課題研究を行う科目がある。月1回は研究先に通って指導を受けたり、実験をしたりするが、そのためにはインターネット上にある先行・類似の研究をリサーチすることも重要になる。

 図書館などに共用パソコンもあるが、アクティブラーニングをしていく上で、個人が持ち運び出来るICT機器は欠かせない。このようなアクティブラーニングに魅力を感じて入学する生徒が出てきているという。

拡大授業でスマートフォンの活用をする神奈川県立横須賀高校


筆者

岩崎賢一

岩崎賢一(いわさき けんいち) 朝日新聞社 メディアデザインセンター エディター兼プランナー

1990年朝日新聞社入社。くらし編集部、政治部、社会部、生活部、医療グループ、科学医療部などで医療や暮らしを中心に様々なテーマを生活者の視点から取材。テレビ局ディレクター、アピタル編集、連載「患者を生きる」担当、オピニオン編集部「論座」編集を担当を経て、2020年4月からメディアデザインセンターのバーティカルメディア・エディター、2022年4月からweb「なかまぁる」編集部。『プロメテウスの罠~病院、奮戦す』『地域医療ビジョン/地域医療計画ガイドライン』(分担執筆)。 withnewsにも執筆中。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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