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疑問だらけのクリーンウッド法

違法木材規制の切り札のはずが、使用の隠れ蓑にも

田中淳夫 森林ジャーナリスト

米ではグレー木材を扱っても処罰対象に

 そこでクリーンウッド法の中身を検証する前に、欧米の違法木材に関する法制度や森林認証制度の内容を確認しておこう。

 まずアメリカの改正レイシー法(2008年施行) では、米国法や外国法に違反して輸入や輸出、販売、受領、購入等を行った場合、および虚偽の記録や明細、ラベル、証明などを行った場合は罰則が課せられる。ここで重要なのはリスク評価やリスク回避の義務もあることで、グレー木材を扱っても処罰対象になることだ。明確な違法性を証明できなくても合法と確認できない時点でアウトとしたのである。そしてEU木材規制(2013年)、オーストラリアの違法伐採禁止法(2014年)なども同じような内容で発効されている。

 一方、政府レベルの取り組みとは別に生み出されたのが森林認証制度だ。第三者が森林経営や木材流通を審査して環境に配慮した森林経営を行い、不当な木材が混じらないようチェックする制度が国際NGOなどによって作られた(森林管理協議会FSCの制度発足は1993年)。ほかにも各国の森林認証制度を相互認証するPEFCという制度も作られた。いずれの認証もトレーサビリティーを重視しており、認証を受けた木材にラベリングをして積極的に購入されることで環境の破壊につながる林業を追放しようという考え方から成っている。今や欧米の林業地のほとんどが認証を取るほどの広がりを見せている。すでに世界の森林の約2割が何らかの認証を取得するまでになった(日本は約2%)。

 欧米が森林管理に厳しい目を向けるのは、違法木材が原産国の森林を破壊するだけでなく、不当で廉価な木材が流入すれば自国の林業や木材産業を圧迫し、持続可能な森林経営が行えなくなると認識しているからだ。だから合法木材証明や森林認証の取得が木材取引のプラットフォームとなりつつある。

グレー木材は何ら規制されていない、クリーンウッド法

 さて日本がようやくスタートさせたクリーンウッド法だが、その内容を確認するとお粗末すぎる。

 まず合法木材を使うのは努力義務であり、罰則がない。もちろんグレー木材は何ら規制されていない。基本理念からして「合法木材推進」であり、「違法木材の規制」ではない。その点を林野庁に問い合わせると、

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筆者

田中淳夫

田中淳夫(たなか・あつお) 森林ジャーナリスト

1959年大阪生まれ。静岡大学農学部卒。日本唯一の森林ジャーナリストとして森林と人間の関わりをテーマに執筆活動を続けている。主な著作に『森林異変』『森と日本人の1500年』(ともに平凡社新書)のほか、『日本人が知っておきたい森林の新常識』(洋泉社)、『樹木葬という選択』(築地書館)、『森は怪しいワンダーランド』(新泉社)、『鹿と日本人 野生との共生1000年の知恵』(築地書館)など多数。

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