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海外から強まる「再生エネ100%」圧力

原子力や石炭火力にこだわる日本政府を待っていられない。民間企業が動き出した

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

世界の再生エネの発電コストは急速に低下

 欧米企業が再生エネに熱心な理由は、何より発電コストが著しく低下しており(下のグラフ)、関連する技術やビジネスモデルを確立する好機と見ているからだ。

拡大

 太陽光発電のコストは、2009年には36円/キロワット時だったが、2017年には5円に下がった。風力発電も14円から4.5円に低下した。両者とも原子力の15円、石炭火力10円、最新型LNG火力6円を下回っている。原子力だけが安全基準強化に伴い上昇している。

 しかし、日本では逆に、太陽光発電の買取り価格は事業用18円、住宅用26円、風力発電も20円と割高で、経産省が示す原子力10円、石炭火力12円、LNG火力14円を上回っている。

 なぜ日本の再生エネは高いのだろうか。

 太陽光発電の場合、パネルの価格は欧米と差はないが、設置工事費が高くてコスト全体の約8割を占めている。工事の効率が悪く時間や手間がかかりすぎている。このため欧米のような「再生エネのコスト低減と導入拡大の好循環」が生まれない。

 もう一つの理由は、政府が再生エネを断固として将来の基幹エネルギーにするという政治決断をしないことにある。エネルギー基本計画は「再生エネを主力電源化する」と述べているが、実態は石炭火力や原子力発電を優遇している。これでは民間企業は再生エネの技術開発や市場開拓に二の足を踏む。

拡大三菱重工がデンマーク企業と組んで欧州で建設した洋上風力発電=三菱重工HPより

 たとえば洋上風力発電。制約がある陸上と違って大型化でき、しかも洋上は風が安定しているのでコストは低い。いま再生エネの最有望株とされる。

 ところが、その技術を持つ三菱重工は大型の9500キロワット機をデンマーク企業と開発し、日本ではなく需要が絶好調な欧州で販売している。日本のエネルギー基本計画は風力を重視しておらず、市場の成長が見込めないのでパスしたのだ。

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

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