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サウジマネーの運用代理人となった孫正義

金主と信じた皇太子が記者殺害への関与を疑われることまでは予期できなかった

大鹿靖明 朝日新聞経済部記者

営業利益の44%を締める投資ファンド「SVF」

 かくして組成されたSVFは、ソフトバンクグループの子会社が責任者(ジェネラル・パートナー=GP)として運営しているため、同社の連結対象となっている。2018年3月期の営業利益1兆3038億円のうち、SVF由来のものは3030億円になり、実に23%を占めた。その多くは、投資先のAI企業やIT企業の株価を評価した未実現の「値上がり益」である。

 これが11月5日発表した19年3月期の9月中間決算(4~9月までの半年間)では、営業利益1兆4207億円のうち、44%を占める6324億円がSFV関連のものとなった。この中には、ウォルマートに売却することになったインドの電子商取引大手、フリップカートの持ち分の売却益1400億円余も含まれているので、未実現利益だけでなく、早くもファンドの実現益も含まれるようになった。

 ソフトバンクの営業利益は前期で23%、今期はこの9月までの半年の間だけでも44%もSVFに依存している。利益面だけでみると本業のソフトバンクの国内通信事業からの収益(4469億円)よりも、SVFの方が2千億円も多いのだ。

 いまの孫氏は、もはや通信会社のトップというよりサウジマネーの運用代理人とさえ言える。

 だから英ヴァージングループの創業者で投資家のリチャード・ブランソン氏が、カショギ氏殺害事件後、サウジ側からの投資の申し出に関する交渉を一時、中断したと報じられたのに対して、孫氏はそこまでは踏み込めなかった。

「私どもはサウジの国民の皆様から投資にかかわる資金を預かっています。これはサウジ国民に大切な経済の多様化、オイルだけに頼ることのないような社会にするという責務を担った資金です。今回の事件が起きる前にサウジのお金を預かり、運用をし、投資をしている。その責務を急に投げ出すわけにはいかない。その責務をしっかり果たしていかないといけない」

 それと、これとは別、という考え方である。

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筆者

大鹿靖明

大鹿靖明(おおしか・やすあき) 朝日新聞経済部記者

1965年、東京生まれ。早稲田大政治経済学部卒。88年、朝日新聞社入社。アエラ編集部などを経て現在、経済部記者。著書に第34回講談社ノンフィクション賞を受賞した『メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故』を始め、『ヒルズ黙示録 検証・ライブドア』、『ヒルズ黙示録・最終章』、『堕ちた翼 ドキュメントJAL倒産』、『ジャーナリズムの現場から』がある。近著に『東芝の悲劇』。キング・クリムゾンに強い影響を受ける。

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