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「共和党善戦」に異議あり!トランプ再選に黄信号

アメリカ中間選挙のデータをみると民主党の勝率はかなり高い

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

拡大中間選挙の結果を受けて、ホワイトハウスで記者会見するトランプ米大統領=2018年11月7日、ワシントン

共和党は本当に善戦したのか?

 今回のアメリカ中間選挙でトランプ大統領率いる共和党が上院で多数を維持したことから、民主党は攻めきれなかった、ブルー・ウェイブ(青い波、青は民主党の色)は起きなかった、両党は引き分けである、といった評価が一般的であるように思われる。

 上院は各省長官など行政府の幹部や最高裁判所の判事の任命を承認する権限を持っている。トランプ大統領が先月指名した保守系の判事カバノー氏の承認は、両党の激しい政治的対立を引き起こした。上院で過半数を占めたことは、トランプ政権が行政府の幹部や最高裁判所の判事を任命する際に承認を得やすくなるものとして、政権に有利な結果となったとされている。

 トランプ政権は既に2名の保守系判事を最高裁判所に送り込み、最高裁判所は保守系が9名の判事中5名と過半数を占めるようになっている。最近になって85歳で最高齢のリベラル派判事が入院したため、彼女が引退すれば、さらに保守系判事を1名任命することが可能となる。

 最高裁判所の判事に任期はないので、今後数十年ほど、中絶や同性婚に反対するなどの保守的な判決が出されることが想定される。これは保守派にとっては勝利、リベラル派にとっては敗北だろう。

 また、大統領選挙の際、スイング・ステート(テキサスは共和党、カリフォルニアは民主党というように、ほとんどの州は大統領選挙の投票前から結果は予測できるのに対し、どちらに転ぶか分らず結果が読めない州をスイング・ステートと呼ぶ)の中でも選挙人が多くて重要なオハイオ州とフロリダ州の知事選挙で共和党候補が勝利したことは、トランプ再選に向けての大きな前進となったと受け止められた。

 過去の大統領選挙後の中間選挙では、与党が敗北することが常だったなかで、共和党は善戦したというのが、大方の評価のようだ。トランプは上院で議席を増やしたことは滅多にないことだと自讃している。

 しかし、そうなのだろうか?

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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