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「ふるさと納税」制度は廃止すべきだ

税が返礼品に化ける仕組みはおかしい

小此木潔 ジャーナリスト、元上智大学教授

返礼品の財源は他の自治体や国の税収

 2018年度は総額4000億円を超すと思われる地方への寄付に相当する金額が所得税・住民税から控除されることになろう。その分だけ大都市部など他の自治体や国に入る税収が減る構図だ。大都市などの減収分がそっくりそのまま地方の税収に回るのであればともかく、一番問題なのはそのうち最大3割までもの金額が返礼品に化けてしまうことである。ふるさと納税制度がなければ、それらのお金は居住地の自治体や国を通じて、福祉や教育などさまざまな分野で支出され、公共サービスを担ったはずのものである。

 こうしてみれば、返礼品の財源が何であるかがはっきりしてくるだろう。返礼品は、直接には寄付を受ける自治体から送られてくるので、財源はその自治体の負担であるように見えるが、もとをたどれば、大都市部などの居住自治体や国の税収となっていたはずのお金なのである。

 この構図をマクロ的に見れば、ふるさと納税の結果、自治体間の税の配分が豪華な返礼品を出す地方に有利なものに変更される傾向がある半面、自治体同士が税収を奪い合う競争の中で返礼品が支払われる結果として、国と自治体に入る税収の総額を返礼品の分だけ減らしてしまう。しかもその規模が年々大きくなっているということである。

 つまり、ふるさと納税を総体としてみる限りは、納税者のうちで比較的裕福で寄付額の多い人に返礼品として税を事実上還付する制度として機能しているといわざるをえない。これは税をふるさとに回すという美名に隠れて税の基盤を掘り崩す歪んだ制度だ。国民はそのことに早く気づく必要がある。

 ふるさと納税を推進するためのCMや、ミクロ的な視点にとらわれていると、こうした構造は見えにくい。たとえば、総務省のふるさと納税ポータルサイトを開けば、

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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) ジャーナリスト、元上智大学教授

群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。経済部員、ニューヨーク支局員などを経て、論説委員、編集委員を務めた。2014~22年3月、上智大学教授(政策ジャーナリズム論)。著書に『財政構造改革』『消費税をどうするか』(いずれも岩波新書)、『デフレ論争のABC』(岩波ブックレット)など。監訳書に『危機と決断―バーナンキ回顧録』(角川書店)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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