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ゴーン会長だけが悪いのか?

かつては日本的慣行に流され、ゴーン支配下では顔色をうかがった日産経営陣

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

「誰も不正を見抜けなかった」は本当か

 ゴーン氏の今回の逮捕容疑は、①役員報酬の過少記載、②私的目的での投資資金の使用、③私的目的での経費の支出、の3点に絞られている。

 ここでは①役員報酬の過少申告について考えてみる。

 有価証券報告書に虚偽記載が行われたのは2011年3月期から2015年3月期にかけてである。この4年間に、ゴーン氏は役員報酬として現金49億8700万円、株価連動報酬(SAR)約40億円、子会社の役員報酬など計99億9800万を得ていたが、報告書には49億8700万円のみが記載され、SARの欄はゼロと記載されていた。

 正直に書くと、高額報酬を批判されるので、半分程度に抑えたという見方がある。しかし、有価証券報告書は企業の経営実態を見るのに重要な判断材料であるから、言い訳は出来ない。

 ゴーン氏と法人である日産は金融商品取引法違反に問われ、ゴーン氏には加えて特別背任罪、業務上横領、所得税法違反などが待ち受けている。

 ゴーン氏は2000年~17年まで社長を務め、2003年~18年まで会長を務めていた。不正を行った4年間は社長・会長であり、独裁的な権限を保持していた。だから、「誰も不正を見抜けなかった」と西川広人社長は会見で弁解した。

 しかし、それは違う。社内でお金が動くには決済が必要であり、伝票は紙やデジタルの形で記録に残る。巨額のカネである。少なくとも財務担当の役員は、有価証券報告書の記載と実際の支払額の食い違いを承知していたはずだ。

拡大ゴーン氏逮捕について記者会見する日産の西川広人社長=2018年11月19日夜、横浜市西区

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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