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ブレクジットを理解したいあなたへ

英国のEU離脱問題はなぜあれほどこじれるのか。わかりやすく解説します

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

 

拡大EU首脳会議を終え、記者会見する英国のメイ首相=2018年11月25日、ブリュッセル

 イギリスのEUからの離脱、いわゆる「ブレクジット」(英国ブリタンと退出エクシットを合わせた造語)については、日本のテレビや新聞でも報道されている。イギリスのメイ首相がEUと合意した離脱案に与党である保守党の一部も反対するなど、イギリスの政治が大変混乱しているということはよく分かる。しかし、どういう理由で反対しているのか、それが離脱とどのように関連しているのかは、非常にわかりにくいのではないか。

 少なくとも私は、日本の報道からは何が争点なのか、これまで理解できなかった。NHKなら分りやすく報道してくれるのではないかと期待して、11月25日にEU首脳が離脱案を了承したという夜のニュースを見たのだが、肝心の何が問題なのかについては十分な説明がなかったようだ。

 そもそも、EUから離脱するだけなら、単純な話ではないだろうか。EUの中にあったイギリスがEUの外に出るだけである。EUからの離脱を国民投票にかけたとき、ほとんど全てのイギリスの国民や政治家たちは、そのように考えたはずである。

 しかし、イギリスのある特殊な事情が、簡単な問題を迷路に入り込んだようなものにしてしまった。

 イギリスBBC放送の解説記事を読んで、ようやく問題の所在がわかった。しかし、一般の人はこれらの記事を読んでも、なかなか理解しにくいのではないか。

 それには、EUとイギリスについての特別な知識が必要になるからである。また日本の報道が分りづらいのは、報道している人たちが、これらの知識を正確に理解して伝えようとしていないのではないかと、心配するようにもなった。

 1996~98年の3年間、EUに対する日本の大使館に相当する”EU日本政府代表部”に勤務した私には、日本の人たちに、正確な知識を伝える責務があるように思う。

 この小論では、ブレクジットを理解するために必要な基礎知識を説明することとしたい。これが分れば、ブレクジットの報道をより理解できるようになるだろう。

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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