多田敏男(ただ・としお) 週刊朝日副編集長
朝日新聞入社後、福岡社会部、経済部、労働問題取材グループ、特別報道部などを経て現在、週刊朝日副編集長。
アップル、鴻海、シャープのものづくりを支えてきたのは日系外国人たちだった
米国のアップル、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業、そして日本のシャープ。これら世界的大企業の底辺を支えてきたのは、ブラジルやペルーなどの日系外国人である。
その人たちがいま、会社側の都合で切り捨てられようとしている。
三重県亀山市にあるシャープ亀山工場。三重県や亀山市が計135億円の補助金を用意して2002年に誘致した。自治体による工場誘致の成功例としてアピールされ、地元経済も一時は潤った。ここでつくられた液晶テレビ「アクオス」は、かつて「世界の亀山モデル」としてもてはやされた。
その亀山工場で働いていた日系外国人約3千人の仕事がいま、なくなりつつある。
日系人労働者らを支援する労働組合「ユニオンみえ」などが12月3日に記者会見して明らかにしたところによると、亀山工場では下請けの人材会社グループの従業員として、2017年時点で計約3千人が働いていた。大半がブラジルやペルー、ボリビアなどの出身の日系外国人だという。
工場にはシャープの従業員は今年3月末で約2千人いるが、日系外国人たちはこの人たちとともに、下請け会社の従業員として生産を支えてきた。つくっていたのは米アップルの「iPhone(アイフォーン)」の部品などだ。
工場では発注元のシャープを頂点に、1次、2次と下請け会社が連なる多重下請け構造になっていた。特定の人材会社グループが人集めの大部分を担っており、全国から日系外国人を募集して働かせていたという。
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