山口智久(やまぐち・ともひさ) 朝日新聞オピニオン編集長代理
1970年生まれ。1994年、朝日新聞社入社。科学部、経済部、文化くらし報道部で、主に環境、技術開発、社会保障を取材。2011年以降は文化くらし報道部、経済部、特別報道部、科学医療部でデスクを務めた。2016年5月から2018年10月まで人事部採用担当部長。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
地球温暖化の行方に限らない。そこは各国の思惑が交錯する権謀術数の外交舞台
いまの国際情勢をおおまかに理解する場として、約190カ国が集まって地球温暖化対策を話し合う国連のCOPほどふさわしい場はないと思う。この会議で、エネルギー、産業、交通、都市開発など、自国のさまざまな政策が左右されかねないため、交渉官たちは必死だ。これだけ多くの国々が国益を守ろうとガチンコでぶつかり合う多国間交渉は、ほかにはない。
12月2日、ポーランド南部のカトビツェでCOP24が始まった。2015年のCOP21で採択された「パリ協定」の具体的な運用ルールを定めることを目指す。会期は14日までの2週間だ。
会議の正式名は第24回国連気候変動枠組み条約締約国会議(The 24th Conference of the Parties to the United Nations Framework Convention on Climate Change)。締約国会議(Conference of Parties)の頭文字を取って「COP」と通称で呼ばれる。
COPは生物多様性条約や湿地保全を目指すラムサール条約でも定期的に開かれている。ただ、気候変動のCOPがメディアで頻繁に取り上げられることもあり、最もなじみのあるCOPになっている。
大きな国際会議でありながら、メディアでの取り上げられ方は残念ながら、主要20カ国・地域(G20)ほどではない。
私は2008年から3回のCOP(14、15、16)を記者として、パリ協定が採択されたCOP21をデスクとして関わった。経済部デスクも務めた経験から言うと、G20に比べて、COPの原稿を載せるために編集局内の理解を得る方が多大な労力を要した。
いまから思うと、もっと伝え方に工夫の余地があったと思う。地球温暖化対策がどうなるかと共に、各国が権謀術数を駆使する姿も伝えられたらよかったのかもしれない。