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国際政治の最前線“COP”を知りたいあなたへ

地球温暖化の行方に限らない。そこは各国の思惑が交錯する権謀術数の外交舞台

山口智久 朝日新聞オピニオン編集長代理

「先進国」対「途上国」という単純な二項対立ではない

拡大COP24の会場では、演説する俳優で米カリフォルニア州前知事のアーノルド・シュワルツェネッガー氏の姿が大型スクリーンに映し出された=2018年12月3日、ポーランド南部カトビツェ
 COPを伝える記事では「先進国と途上国が対立して…」という表現がよく出てくる。

 途上国が先進国に対し、温室効果ガスの一層の削減策や、途上国が温暖化対策を取るための技術移転や資金援助を求める、というのがCOPの基本構図ではある。短い記事で全体像を伝えるのに、この基本構図を盛り込むのに精いっぱいだった。

 ただ、何事でもそうだが、世の中には単純な二項対立はない。担当記者だったころ、COPに初参加した日本の環境大臣に「新聞は『先進国』対『途上国』といつも書いているが、もっと複雑じゃないか!」と怒られたことがある。

 COPで交渉する国・地域は190以上。すべての国が順々に意見を述べていけば、それだけで時間を費やしてしまうので、実際はいくつかの交渉グループに分かれて交渉に臨む。大ざっぱに言うと、三つに分けられる。欧州連合(EU)、EU以外の先進国、ほかは途上国だ。

 気候変動交渉における「先進国」とは、1992年に採択された国連気候変動枠組み条約の「付属書1国」に列記された国々を指す。工業発展するなかで温室効果ガスを排出し、いまの地球温暖化を招いた責任がとりわけ重いとされる国々である。1992年当時、「西側」の先進国とされた経済協力機構(OECD)加盟国と、「東側」の先進国だった旧ソビエト連邦と東欧諸国である。

 最も存在感を放っている交渉グループが、欧州連合(EU)だろう。交渉グループと言うよりは、一つの国に近い。加盟28カ国は、温暖化対策をブリュッセルで絶えず調整しており、国連での交渉ポジションも「One Voice(一つの声)」にそろえて臨む。半年ごとに交代するEU議長国の代表と、欧州委員会の交渉官が主に交渉の前線に立つ。主権国家が生まれ、さまざまな外交術が磨かれてきた欧州だけに、スピーチは格調高くて耳に心地よいが、どこか老獪な印象もある。

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筆者

山口智久

山口智久(やまぐち・ともひさ) 朝日新聞オピニオン編集長代理

1970年生まれ。1994年、朝日新聞社入社。科学部、経済部、文化くらし報道部で、主に環境、技術開発、社会保障を取材。2011年以降は文化くらし報道部、経済部、特別報道部、科学医療部でデスクを務めた。2016年5月から2018年10月まで人事部採用担当部長。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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